Writingsコラム

相手を理解する力、共感力

普段、なんとなく使っている「共感力」という言葉。「共感」は、辞書的には相手の気持ちに寄り添うことですが、心理学の分野では、情動的共感と認知的共感の2種類があるとされています。

情動的共感は、他人の気持ちを自分のものであるように感じる力です。友人の話に一緒になって笑ったり、ドラマを見て登場人物に感情移入して泣いたりした時に発揮されます。一方、認知的共感は、他人の立場になってみて、その人が置かれている状況を理解しようとする力です。泣いている人を見たら、「なぜ泣いているのだろう」と相手の状況を読み取り、理解するというような論理的能力と言えます。

情動的共感力は高すぎると、相手の影響を受けすぎることになり、自分自身が疲れてしまいます。認知的共感を高めることは、特にビジネスシーンにおいて人間関係を円滑に進めやすいという利点はありますが、一定の距離感があるため、より親しい関係性では「気持ちがわかっていない」と思われてしまう場合も。2つの共感力の程よいバランスが大切になります。

いずれにしても共感力とは、相手の立場や気持ちを理解することから始まることは間違いありません。異なる国や文化、ジェンダーの違いを偏見なく受け止め、否定することなく前に進めていくことは、仕事でもプライベートでも必要な能力です。

共感力を高める第一歩は、まず、相手の話をしっかり聞くことです。その際、相手を否定する姿勢とならないように注意しましょう。また、相手が置かれている周囲の状況を把握する観察眼も養っていかなければなりません。経験を重ねることで、その人の置かれている立場を理解しやすくなり、感情的にもより深い共感性を発揮できるでしょう。

人の気持ちに寄り添える共感力はチームワークを高め、クライアントやユーザーの要望を引き出す力ともなります。まずは批判や思い込みを取り除き、話を聞いてみましょう。今まで気づかなかった発見があるかもしれません。

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