Writingsコラム
秋田県 花火とダリア

毎年、8月末には秋田県大仙市では「全国花火競技会」、通称「大曲の花火」が開かれています。2025年は8月30日に開催され、全国から花火師たちが集まり、腕を競い合います。夏の夜空に咲くのは花火ですが、秋田の夏はダリアの季節でもあるのです。
実は秋田県は、ダリアの栽培地としてその界隈ではとても有名です。秋田空港に程近い「秋田国際ダリア園」に、世界的に著名なダリア育種家の鷲沢幸治さんがいるというのが大きな理由です。世界14カ国約700品種、7,000株のダリアが植えられており、日本で流通する7割のダリアがここから生まれました。毎年、全国の生産者が球根を仕入れに来るというダリアの聖地でもあります。
現在、秋田県のダリアの作付面積は全国1位ですが、2010年にテコ入れが行われるまでは、稲作が終わった農閑期に少し手がける程度で、栽培技術は未熟なものでした。15年ほど前にJA新あきたの依頼で、ダリア栽培の名手・鷲沢さんが技術を教えるプロジェクトが始まり、栽培に適した土地選定や市場で売れるためのマーケティングも並行して行われました。
とはいえ、当初はダリア栽培に対する意識がバラバラで、全体のまとまりに欠けていました。そこで生産者の本音を話し合う「ダリア合宿」が行われ、個々が抱いていた問題点を洗い出したのです。
ダリアは大輪で美しいものですが、切り花としては日持ちがしないという欠点がありました。おまけに輸送中も花が傷みがち。美しい姿が長持ちするために、切る前の処理方法の研究が行われ、最適な手段の共有が行われました。
さらに県と鷲沢さんが連携して新種ダリアを開発。マーケティングによって確実に売れるダリアを選別し、地域ブランド「NAMAHAGE ダリア」として売り出したのです。東京・太田市場関係者とフラワーショップのスタッフによるダリア選考会は「NAMAHAGE ダリア総選挙」と命名され、2012年に1期生として5品種がデビューしました。2024年13期生43品種のデビューが叶いましたが、一部、時代のニーズに合わず卒業した品種もあるのだとか。
ダリアにはもう一つ、問題点がありました。咲きすぎや中央部が露出しすぎて見栄えが悪い、茎が曲がってしまったなど、市場が求める均一な品質を保つのに苦労していたのです。こうした「規格外品」を利用できないかと模索し、ペット葬儀の規格ならばなんとかなるのではないかという活路を見出しました。
秋田県には「NAMAHAGEダリア」以外にも「花火ダリア」というブランドもあります。こちらは「大曲の花火」の開催地大仙市で生まれた新種のダリアで、「八重芯」や「紅遊星」など花火にちなんだ名前がつけられています。「花火ダリア」の人気投票には、なんと花火師も加わるそうです。
一重咲きから八重咲き、丸いボールのようなポンポン咲きと、ダリアの種類は花火のように多種多彩。秋田とダリアの関係を知ると、夜空に花開く花火に大輪のダリアが重なって見えてきます。