Writingsコラム

メンター、ロールモデルが示す道

初めて経験する仕事は、先輩に教わりながら行うことが多いものですが、最近、企業で導入が進んでいるのがメンター制度。似たような言葉で、ロールモデルというのもあって、どう違うのか戸惑います。両者の違いを詳しく解説していきましょう。

職場で先輩たちに教わりながら業務を学んでいくのは、OJT(On the Job Training)と呼ばれています。その際、仕事のスキルだけではなく、仕事や職場においての心構えなども伝えられることが多いかと思います。こうしたことから、指導する立場の人はチューターと呼ばれる場合もあります。チューターには大学などでお世話になった人も多いかと思います。ただ、職場ではグループ制ではなく、1対1の関係性になります。

余談になりますがが、Off-JT(Off the Job Training)というものもあり、 eラーニングや社外研修など、職場から離れて行われる業務指導のことです。Off-JTでは自分が担当する範囲だけではなく、幅広い専門的な知識を得ることができます。

メンター制度は、仕事に限定することなく、組織に属する気持ちの持ちようなど、ビジネスパーソンとして生きていくための師匠のような立場の人(メンター)が、助言を行なっていくシステムのことを示します。教わる立場の人はメンティーと言い、直接、業務指導する立場の先輩や上司ではなく、他部署のメンバーが選ばれます。女性の場合、出産や育児などの悩みを相談する役割に特化したメンター制度もあります。

メンティーの日常業務から少し離れた立場にいるため、メンターは部署内の人間関係や仕事の悩みなど、組織の事情を踏まえながらも、客観的な視点を持って助言することができます。昔の日本企業の先輩・後輩関係は、関係が密なため、企業人としての生き方をアドバイスすることができました。しかしこれでは、縦社会的な組織風土が助長されてしまうという欠点がありました。時代の要請に従い、よりフラットな組織を目指しつつも、社員のメンタル面でのフォローを行おうと導入されたのがメンター制度です。

ロールモデルは、役割(role)を手本(model)とすることで、考え方や言動、行動が自分にとって模範となる人を示します。自分が「こうなりたい」と憧れる人物で、仕事に限らず、ファッションやライフスタイルなどで、ロールモデルから学んでいる方もいるでしょう。憧れの人に近づきたいという思いをエネルギーに、ロールモデルが積み重ねてきた経験を参考することによって、自分自身も具体的なプロセス設定と目標達成ができるようになり、成長が早まるというメリットがあります。

しかしながら自分の理想を完璧に満たす人物は見つかりにくいため、ロールモデルは一人だけではなく、複数持つと良いと言われています。社内の先輩、同じ業界の人物、ポジティブな発言をするセレブや歴史上の偉人など、分野を限定することなく、共感や尊敬できる点を積極的に取り入れてみたいものです。社内制度で自分がメンターとなった場合、気持ちの支えとしているロールモデルがいれば心強いでしょう。どうしても見つけられないという場合は、自分が道を切り開く。そんな心構えで仕事に挑んでいってみるのも一つの生き方です。

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