Writingsコラム

甘味の誘惑と上手に付き合う

なんだか疲れた時、甘いものを食べると癒されます。季節ごとに新作が出る甘いドリンクや宝石のような美しいケーキは、常に私たちを誘惑してきます。なぜ人は、時に強烈に甘いものを食べたくなるのか、理由を知りたくありませんか。

強いストレスを感じた時、甘いものを食べると癒された気になるのは、抗ストレスホルモンであるセロトニンを分泌させようと、脳が甘いものを要求するからです。睡眠が足りていないと、食欲を増進するグレリンというホルモンが分泌され、空腹ではないのに甘いものを食べたくなるという現象が起きます。また、女性は月経前にエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの量が変化します。プロゲステロンには食欲増進の作用もあるため、甘いものへの欲求が強くなるのです。

糖分を摂取しすぎると、余分なエネルギー源となり、中性脂肪となって体に蓄えられます。適正体重を超えた肥満状態は、高血圧や糖尿病のリスクを高めます。摂取した砂糖の消化には、ビタミンB群やカルシウムなどが使われるため、イライラしたり、気分が落ち込みやすくなったりします。

そんなリスクがあることは頭で理解していながらも、どうしても甘いものが食べたくて仕方ないという状態をクレービング(Craving)と言います。甘味に限らず、塩味のものやカフェインを欲することも同じことです。クレービングはストレスから生じやすいものですが、栄養不足からも起きてしまいます。

栄養に偏りがあると、短時間で活力の元となってくれるエネルギー源を得ようと、甘いもの、つまり糖質を体が欲するという現象が起きます。糖質制限ダイエットを行っている場合、無性に甘いものが食べたくなるのは糖質不足が原因です。

しかし糖質が多いものを一気に食べると、血糖値が急上昇し、インスリンの分泌が増え、血糖値が急降下します。この乱高下がストレスとなり、さらに甘いものが食べたくなるという悪循環に陥ることがあります。

対処法としては、ごく当たり前なことになりますが、甘いものは適量を摂取するということが、まず挙げられます。むやみに甘いものが食べたくなった場合は、本当に食べたいのか、それとも惰性で食べたいのかを冷静に考えることも必要です。ストレス解消法として、甘いものを摂取する習慣も考え直したほうがいいようです。同じ糖質でも、油脂や炭水化物の多い菓子パンや洋菓子類をなるべく避け、タンパク質などの栄養素が含まれるヨーグルトや、食物繊維豊富なあんこを使った和菓子にしてみるのも改善策の一つです。

大切なことは、バランスの良い食生活を心がけること。糖分の消費を助けるビタミンB群やカルシウムを多く含むナッツ類や小魚をおやつにすると、カリカリとした食感がストレス解消につながることもあります。甘いものは美味しいものですが、食べ過ぎないよう気をつけましょう。

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