Writingsコラム
エモーショナル・インテリジェンス(EI)

一人でコツコツ進めていく仕事もありますが、会社という組織単位の仕事は、大抵の場合、人々が協力し合って成果を上げていくものです。その際、メンバー同士のコミュニケーション力、EIが求められています。EIがなぜ重視されるのか、考えていきましょう。
エモーショナル・インテリジェンス(Emotional Intelligence)の略称であるEIは、自分自身や他者の感情を正確に認識し、感情を適切にコントロールしたり活用できる能力のことです。1990年にアメリカでその概念が提唱され、書籍が出版された1995年ごろから広く知られるようになりました。
IQは推理能力や知識量などを検査で調べて出す数値ですが、EIは測定することができません。実は1990年代にEIという考え方が普及し始めた頃、日本ではEQとされていました。それは「Emotional Intelligence」の和訳本を出版する際、すでに知られていたIQと結びつけた方がいいのではないかという考えからでした。そうした事情で日本では、しばらくの間EQとEIが混在していましたが、現在はEIで統一されています。
なぜEIが測定できないかといえば、研究者によって能力と捉えるか、それとも個人的特性とするのか、あるいは能力と特性が混在しているのかは、解釈に差異があるためです。ただ、測定はできないものの、トレーニングによって高めることができると研究結果に出ています。これにより、個人の特性というよりも、能力と特性の混合と解釈されることも多くなって来ています。
EIは4分野に分類されています。感情の自己認識と自己管理、他者の感情の認識、自己と他者の関係性管理(Relationship Management)です。まずは自己の感情を認識し、コントロールしていけなければ、他者の感情も認知できず、その関係性もマネジメントすることができません。他者との関係性がうまくいけば、より深い自己認識や管理へと進めていくことが可能です。
4つ目の「関係性の管理(マネジメント)」は、他者をコントロールすることのように思われますが、そうではありません。無駄な衝突をなくし、お互いの意見を出し合って歩み寄れる点を探し出し、個々の能力を十分に発揮していくという、前向きで円滑な人間関係を意味します。例えば、攻撃的に自分の考えを主張する人物は孤立しがちですが、自分でこの特性を認識し、関係性を良くするような柔らかな表現を学び、自己をコントロールしながら、他者の感情を思いやることができれば、豊かな人間関係を作り上げることができます。そうしたEIの3分野向上が、4番目の自己と他者の関係性のマネジメントへとつながっていくのです。
計測できないEIではあるものの、EIの高さは、仕事への貢献度や問題解決能力の向上にもつながります。個人としては、誰もが積極的に身につけていった方がいい能力で、企業としては一人でも多くの人が獲得・向上していくことができるよう、支援・育成していくことが求められています。


