Writingsコラム

キャリアチェンジにおける内省の重要性(3)

引き続き、『ライフ・シフト』で述べられている内省の重要性について考えてみます。当社は日々多くの転職希望者と面談しておりますが、その場ではたくさんの質問をし、前職までのエピソードを具体的にお聞きしています。その際、どういった志向性をもって経験を積んで来られたのかをエージェントの立場でよく理解することに留意しています。

面談の後日、「先日の質疑応答を通じ内省が深まり、自分自身が分かってきました」というメールをいただくことがあります。以前のコラムでも触れましたが、面談の目的の一つはご自身についてじっくり考えていただくことであり、それは内省にほかなりません。転職活動に際する自己分析や強みの棚卸しは自分と向き合い職業観を深める行為ですので、内省の延長線上にあるものです。

自己分析は一筋縄ではいきません。ご自身のみで分析に努めても行き詰まってしまうことがしばしばあります。感情的な要素や何らかの思い込みやこだわり、バイアスや先入観等があったりすると、どうしても分析に客観性が乏しくなり、転職におけるポイントからズレてしまい非効率になることがあるのです。そのようなズレはなかなか自覚しにくいです。

面談での質疑応答も含め、転職活動を開始して間もないフェーズにおける当社の役割は、転職希望者の内省および自己分析をサポートすることです。以前のコラムでも述べたように、転職活動においては、自身の志向性について認識すること、求人企業の立場を念頭に経歴書やポートフォリオを整理して面接の準備を着実に行なっておくことが重要です。

そのため、転職活動中、転職希望者は自分自身について熟慮し、ずっと内省しているような状態になることがあります。期待と不安が入り交じって思い悩む時間が増えたりもします。そこで当社は、転職が成就しやすくなるような思考の枠組みや意識のあり方に留意し、エージェントの視点から新たな選択肢を示唆したり、ときには背中を押すようなこともあります。

さて、『ライフ・シフト』は遠くない将来に人生がマルチステージ化することを前提に、人生設計を再検討する上でのヒントを提示してくれています。同書ではキャリアチェンジの有望な形態として「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」といった働き方が紹介されており、そのように働くには内省の習慣化および移行期に活きる変身資産の蓄積が欠かせないと述べられています。

上記のような新たな働き方と同様、より一般的なキャリアチェンジの方法である転職活動においても自分自身との対話や内省が重要です。当社は今後も転職希望者のみなさまのお話を傾聴し、自己実現に繋がるようなキャリアチェンジのサポートを続けてまいります。

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