Writingsコラム

キャリアチェンジにおける内省の重要性(2)

『ライフ・シフト ― 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)でとりわけ印象的だった記述に「内省することの重要性」があります。日々の内省を通じ、自己認識と世界の見方を変更することが今後ますます重要になると繰り返し述べられています。

その理由は、来る長寿時代における人生は従来の教育、仕事、引退という3ステージではなくマルチステージとなり、多くの移行期があるため、その度に内省しながら自分自身を変え、次のステージに適応する必要が生じるからです。自分を変えるための意思と能力を同書では「変身資産」と表現していますが、それは習慣的な内省によって築くことができると述べられています。

人生100年となると、長短様々な移行期を経験する可能性が高いでしょうから、その時々で内省を通じ自分自身についての知識を深め、あるいは理解を変え、志向性を認識することが重要になるという同書の主張もうなずけます。

平均寿命が現在並みで100年に満たなかったとしても、内省が習慣づいていると自らの過去の発言や行動を振り返り、その結果として何がどうなったのか、今後どうなりそうかなど、因果関係や相関関係を分析できます。また、成功や失敗の経験を次の機会に活かせたり、起こり得る事象の予測もできます。

望むと望まざるとに関わらず、誰しも人生の移行期を迎えますが、その期間においては過去、現在、未来の自分を思い浮かべながら現実と向き合うことになります。100年の人生では尚更、幾多のステージを移る度に「自分が何を望んでおり、そのために現状では何ができて何ができないのか」を理解すべく中長期の視点で内省を重ねることになるでしょう。

過去の言動を後悔してあれこれ思い悩むこととは異なり、内省は未来志向の行為です。不確実性が大きい状況下で次のステージに踏み出す意思決定を行なうに際して欠かせない習慣だと言えます。(次回につづく)

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