Writingsコラム

タイパ視点で考える食生活

短い時間で多くの効果が得られるタイムパフォーマンス、つまりタイパの良し悪しが、食の世界の価値観を塗り替えようとしています。ですがタイパと言っても、個人の食の好みによって、さまざまな手段が取られているようです。食事のタイパに関して、どのような観点があるのか探っていきましょう。

少し前まで、家庭料理の世界では「タイパ」ではなく「時短」という言葉が使われ、短時間で簡単に作ることのできるメニューを取り扱っていました。その一環で惣菜をたくさん作って何回かに分けて食べる「作り置き」が流行し、冷凍食品の種類も格段に増えました。調理器具も「ほったらかし」で簡単に調理できる圧力鍋などの電化製品が多数発売され、炊飯器を使った煮込み料理など、いかに手間をかけずに美味しいものを作るかが家庭料理の世界の課題の一つとして取り組まれてきました。

一方、調理をできるだけやりたくない派は、一食当たりの栄養素を全て備えた完全栄養食に着目していました。形状は、飲み物などに混ぜる粉末系、スティックバーなどの間食系がほとんどという時代が長く続きました。そこにパンやパスタなど、食べやすい炭水化物に栄養素が添加されたもの、さらにはカレーや焼きそばなど、一食分として満足できる食事系が出現してきたのです。

食事を摂る時間を削りたいほど忙しかったり、元々食べることにあまり興味を持たない人にとって、パンや麺類などの炭水化物は一番手軽な食べ物です。しかし簡単だからといって、炭水化物に代表される糖質ばかり摂取していると、倦怠感や集中力の欠如、髪や爪などが弱くなるなどの心体に不調が生じます。手軽に摂取しやすい炭水化物に、必要な栄養素が加わった完全栄養食は、食事を手早く終わらせたい人にとって、待ち望んでいた商品だったと言えます。

けれども、栄養がクリアされているからといって、3食全てを完全栄養食にしてしまうと、咀嚼する力が弱まる、仕事や年齢、性別によってはカロリー不足になってしまうなどのマイナス面が出てくることもあります。どうしても調理したくない、時間がないという人は、冷凍食品や外食等を組み合わせることを考えてみてはいかがでしょうか。栄養バランスの良い定食がおすすめで、冷凍食品にもあります。出かけずにレンジで解凍するだけなので、タイパに優れており、外食よりも価格が安いので、コスパも良いと言えます。

タイパの波は食品業界全体に及んでおり、食品素材や調味料メーカーは簡単に作ることのできるメニューをサイトにあげていますし、SNSでも簡単な調理法がたくさん配信されています。時間をかけた料理や食事の良さは皆が知るところですが、時間をかけずとも美味しいものが食べられる世の中になったのです。休日はゆっくりでも平日はタイパ重視など、自分に合った方法を選択していきましょう。その際、体調の異変には気を配り、調子が悪いと感じたら自分の選択を見直すといったことも心得ておきましょう。

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