Writingsコラム
アサーティブ・コミュニケーションに着目!

自分を表現することが苦手だったり、特定の相手に萎縮してしまったり。かと思えば、迂闊な発言で失敗してしまうことがあります。対人関係を円滑に行うため、コミュニケーションは大切ですが、いったい何が必要なのでしょうか。
まずはコミュニケーション能力の分類から。大まかに分けて4つあります。自分の考えを伝える「意思伝達力」。筋道立てて説明する「論理的表現力」。感じよく振る舞える「好感表現力」。相手の意図を感じ取り、配慮できる「対人調和力」。これらの要素の割合は、人によって違ってきますが、今、必要とされているのは4番目の対人調和力だと言われています。
対人調和力は、発言力の強い人の主張ばかりの一方通行のコミュニケーションにならずに、「なぜ相手がこう考えるのか」「どんなことを求めているのか」を探るために共感を示し、態度として表現する力です。お互い、そうした姿勢を保ったままコミュニケーションを図ることがアサーティブ・コミュニケーション。分断によって対話が求められている今、最も必要とされているコミュニケーション方法です。
アサーティブ(assertive)は「自己主張する」という意味ではありますが、自分の主張だけを強く言い張ることではありません。相手に圧力を感じさせることなく、不愉快な気分にさせない状況で、意見を好感し合うのがアサーティブ・コミュニケーション。アサーション(assertion)という場合もあります。
こうしたコミュニケーションのためには、「率直」「対等」「誠実」「自己責任」という4要素を意識します。まずは自分の意見を「私はこう思う」とストレートに伝える「率直」さ。相手を下に見る上からの物言いや極端な自己卑下は、「対等」な意識を欠いていますから、普段から気をつけるように心がけてみてください。
相手と意見が異なっても、自分の意見を押し付けるのは「誠実」さを欠く行為です。逆に、自分を押さえて我慢しすぎるのもアサーティブ・コミュニケーションの原則から外れています。相手の意見を受け止めながら、自分の意見を主張するのが誠実なコミュニケーション。そうした話し合いを重ねていくことから生まれた結果は、相手に不満があったとしても、その相手に責任があるとは考えないこと。それが「自己責任」です。自分の意見を主張せず、結論に至ったのであれば、発言しなかった自分にも責任がある。その点をしっかり受け入れましょう。
自分の主張をはっきりと表現することに慣れていない人はDESC法というコミュニケーションスキルを使ってみてはいかがでしょうか。感情的にならず、状況を客観的に描写(Describe)する。「自分はこう考える、感じている」という表現(Explain)は、感情に溺れることなく理性を働かせることが肝要です。具体的な解決策には提案(Specify)という手段を用います。その際、命令や強制にならないよう、伝え方を工夫する必要があります。そうした提案が受け入れられなかった場合は、別のプランを提示する必要があります。相手に選択(Choose)のバリエーションを感じてもらえば、落とし所がつかめるはずです。
コミュニケーション能力は繰り返し実践していくことで磨かれていきます。ビジネスの場ばかりではなく、友人や家族を相手に、日常生活で練習していくのもおすすめです。