Writingsコラム

マーケティングとブランディング(2)

企業経営においてマーケティングとブランディングが重要なのは疑いようがありません。ブランドコンサルティング大手のインターブランド社が毎年発表しているランキングの上位に名を連ねる企業は、どこもマーケティングとブランディングの巧者といえます。

学問の分野でも、AppleやGoogleをはじめ高い競争力を誇る企業の成功要因に関する研究はし尽くされている感があり、多数の論文や文献があります。

ただ、これまで、マーケティングとブランディングの違いや双方の関係性について、学術的な定義や説明と実務との間にやや隔たりがあるように感じていました。それは、学術研究も、ビジネス環境や事業モデルも、それぞれのスピード感で日々更新されているからかもしれません(似たような論議として「経営学の研究者は実際に経営したら成功できるか」を耳にすることがあります)。

一方、最近読んだ文献に大変分かりやすい説明があり理解が深まりました。そこで、その内容を咀嚼し、マーケティングとブランディング、それぞれの定義や関係性を整理してみます。

ネスレ日本の高岡浩三氏とマーケティングの大家であるフィリップ・コトラー教授の共著『マーケティングのすゝめ』(中央公論新社)が、実務と研究の両視点から、今後求められるマーケティングの取り組みについて論理的に説明してくれていました。

同書によると、マーケティングとは、自社が提供できる価値を認識し、「顧客」が誰かを特定し、その「顧客の問題」が何かを整理し、イノベーションあるいはリノベーションを通じて問題解決に取り組むことです。

同書では、イノベーションとは「顧客が認識していない問題の解決から生まれる成果」を指し、リノベーションとは「消費者調査で把握可能な、顧客が認識している問題の解決から生まれる成果」を指すと述べられており、テレビやスマホ、ネスレ日本のサービス等を例に、双方の違いとマーケティングにおける位置づけが端的に示されています。(次回につづく)

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