Writingsコラム

マーケティングとブランディング(3)

マーケティングとは、自社が提供できる価値を認識し、「顧客」が誰かを特定し、その「顧客の問題」が何かを整理し、イノベーションあるいはリノベーションを通じて問題解決に取り組むことです。(参考文献:高岡浩三(著), フィリップ・コトラー(著)『マーケティングのすゝめ』中央公論新社)

一方、ブランディングですが、前々回にご紹介した文献や青木幸弘(著), 新倉貴士(著), 佐々木壮太郎(著), 松下光司(著)『消費者行動論』有斐閣なども参考にした理解としては、「想定する消費者・顧客に、自社および製品・サービスがこのように認知され、こういったシチュエーションで想起されたいというイメージを構築するためのすべての施策」といえます。

つまり、ブランディングとは、理想(自社がこう思われたいと望むイメージ)と現実(実際に消費者・顧客が自社に対して抱くイメージ)の相違を解消していく取り組みです。そのためには対外的な施策はもとより、社内を対象としたインターナルブランディングが重要になります。社員はタッチポイントでもあるので、意識改革が欠かせないためです。

上記の『マーケティングのすゝめ』の通り、マーケティングは問題解決を目指す取り組みです。そのマーケティングの枠組みで「ブランディングとは何か」を検討してみると、マーケティングとブランディングの関係性が見えてきます。

すなわち、「顧客」は「社内外のすべてのステークホルダーおよび価値の提供先」と捉えられ、「顧客の問題」は「理想と現実に相違があること」であり、相違を解消するためのイノベーションあるいはリノベーションを含むすべての取り組みがブランディングだといえるでしょう。

日本企業はブランディングが苦手であると言われるようになって久しいです。そのため、デザイナーやマーケターにブランディングへの本質的な理解が求められるようになってきており、また、インターナルブランディングを念頭に置いた全社的な意識改革や意思統一のための取り組みが急がれています。(次回につづく)

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