Writingsコラム

世界に広がる日本のおにぎり

日本のソウルフードとも言えるおにぎり。おむすび、握り飯など、各地で呼び方の違いはあれど、人々に愛されているのは確かなこと。海外でもおにぎり専門店が人気だという話も耳にします。国内外のおにぎり事情を、いくつかピックアップしてみます。

まずは名称の違いですが、東日本はおにぎり、西日本はおむすびと呼ぶことが多いと言います。けれども千葉県館山市では俵形をおにぎり、三角形をおむすびと呼ぶなど、地域によって違うため、呼び方は「人それぞれ」でおさめておきたいものです。形は丸型、三角形、俵形などが代表的ですが、サンドイッチタイプの「おにぎらず」もあったり、大きさもさまざま。巻く材料も海苔をはじめ、高菜やとろろ昆布、わかめ、ごま等々。巻かずに味噌や醤油を塗る焼きおにぎりに、炊き込みご飯を使うなど、たくさんのバリエーションが存在します。

コンビニなどで見かける標準型は、三角形で海苔を巻くタイプ。この中に入る具も千差万別です。外国人にも人気があるツナマヨネーズは、1983年にセブンイレブンで発売され、40年ほどの間に定番化しました。ちなみに人気の具は国内外問わずに鮭。日本独自のピクルスである梅干しや、生食の習慣がない外国人には生タラコやイクラは不人気のようです。

コンビニおにぎりの特徴である、海苔を別にして湿気を防いだ包装フィルムが誕生したのは1978年のこと。この包装フィルムの開け方がわからず、苦戦した外国人もいたようですが、一度体験してしまうと、その独自性にハマる人も多いようです。SNSで開け方を紹介する人も多く、日本名物の一つとなっている模様。動物性の具を使わないものもあるため、ベジタリアンやヴィーガンにも人気です。イスラム教で食材を制限するハラールの基準を満たしている具材も多く、安価で手軽に入手できる食べ物として重宝されているようです。

おにぎりは日本のアニメにたまに登場するため、子供の頃、見ていて気になった外国人も多いようです。またiPhoneの絵文字におにぎりがあることを発見し、食べてみたいと思う人も増えてきました。

そんな中、長年パリで営業しているうどん店「国虎屋」が、2015年に初の専門店である「おにぎりバー」を開店。きっかけは漫画やアニメの祭典「ジャパンエキスポ」で出したおにぎりのブースが好評を受けてのことでした。これを機に、日本人オーナーが切り盛りする専門店がじわじわと増え、客層も広がったことから、モノプリやカルフールなど大手スーパーにも置かれるようになりました。ベジタリアンやヴィーガンはもちろん、米はグルテンフリーなために小麦アレルギーの方に適しているだとか、宗教的な縛りに囚われない食べ物ということで、フランスでは特に人気が高まっています。

寿司の次にブームが来ると言われているおにぎり。その多様性で、世界中でローカライズされ、広く愛されていくに違いありません。各地でどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。

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