Writingsコラム
愛媛といえば、やはりみかん!

冬を代表する果物といえば、みかんです。手でむける皮に、甘酸っぱい味わい。普段フルーツを食べなくても、みかんだけは食べるという人も多いはず。国内有数の産地である愛媛県のみかんについて探っていきましょう。
まず、愛媛県で栽培されているみかんの種類ですが、昔からある温州(うんしゅう)みかんの他に、ポンカンや甘夏、せとかなどの「抽晩柑(ちゅうばんかん)」と呼ばれる柑橘類が40種類以上も作られています。愛媛は年間平均気温が15℃以上で、冬でも−5℃以下にならない温暖な気候です。柑橘類の生育に必要な8〜10月にかけての日照時間もたっぷり。さらに山を切り開いて作った段々畑の石垣の照り返しと、海からの反射光も加わって、糖度の高い柑橘類が育つ条件が整っています。
みかんを使った代表的な加工品として、みかんジュースが挙げられます。「愛媛のまじめなジュースです」で有名なポンジュースは、「日本(ニッポン)一のジュースになるように」という願いを込めて名付けられました。アメリカの工場から生産方法を学んだえひめ飲料が1952年にジュース生産を開始。「日本で生まれて世界に輝くジュース」というキャッチコピーで、発売以降、徐々に売り上げを伸ばしていきました。天然果汁が好まれてきた1969年から果汁100%へとバージョンアップし、2024年で誕生から55年と長きにわたり、世代を超えて愛されてきました。
愛媛の水道の蛇口からはポンジュースが出てくるという都市伝説が広がり出したのは1970年代ごろだと言われています。2007年、発売元のえひめ飲料はその冗談を実現し、空の玄関口である松山空港に「ポンジュース蛇口」を設置。月に一度無料で振る舞われるイベントは大好評でした。
2023年ブラジルで大洪水が発生したため、オレンジの生産が激減し、オレンジジュースが店頭から消えました。加えて、円安や世界的需要の増加の影響で、輸入オレンジ果汁の価格は高騰。ならば国内で生産されるみかんを使ったジュースを増やせばいいのではないかという意見も出ました。が、国内のみかん生産は、栽培農家の高齢化などで減少傾向。そもそも生食を考えた栽培をしているため、スーパーやコンビニで売っているような手頃な価格のジュース用みかんを急に増産するのは難しいようです。
生食レベルの高品質みかんを、品種ごとにジュースで味わってもらおうという動きもあります。道後温泉近くの「愛媛の食卓1970」は常に20種類の愛媛県産柑橘類の果汁100%ジュースが揃っており、それぞれ1970年代の昭和の台所を再現した水道の蛇口から出てきます。1杯220〜400円で楽しむことができるため、飲み比べをしたい観光客に人気のスポットとなっています。また「10FACTORY」では3種類の飲み比べセットを500円で提供。その後、瓶詰めのお土産用ジュースやドライフルーツタイプもあり、さまざまなみかんが堪能できます。
他に、採れたてのみかんをジュースやパフェで堪能できる農園直営店があったり、アイスクリームやかき氷のシロップとしてもみかんは活躍しています。愛媛に旅行に行った際には、現地でフレッシュなみかんと、多彩なみかんスイーツを楽しんでみたいものです。