Writingsコラム

ポートフォリオとは

デザイナーなど、クリエイターの就職・転職活動で必ず求められるのが、作品をまとめたポートフォリオ。しかし業界によってはポートフォリオの意味するところが違っていて、話が噛み合わないこともあります。業界ごとの違いを解説していきます。

まず、ポートフォリオ(Portfolio)は、イタリア語のカバン(Portafoglio/ポルタフォリオ)が語源で、薄くて大型の紙挟みや書類カバンというのが基本的な意味です。ここから作品集という意味に派生していき、学生時代や社会人となってからの作品をまとめたものをポートフォリオと呼ぶようになりました。一昔前のデジタル進化途上時代では、クリエイター志望の求職者は、自分の作品を薄型ケースに入れて持ち歩き、面接を受けていたものです。

現代ではポートフォリオはデータ化し、履歴書や職務経歴書と一緒に送付するのが一般的です。立体や映像作品であっても、写真や動画サイトのリンク先を明示したり、QRコードから誘導することで簡単に確認することができるようになっています。ただ、紙のポートフォリオもサイズやアピール方法を工夫すればインパクトが出るものですから、目的によって使い分けてもいいかもしれません。

ファッションモデルも、自分が出演した作品をまとめたポートフォリオを活用します。事務所のサイトなどに掲載されている写真は、コンポジットやアーティスト写真と呼ばれ、オーディションに呼ばれるかどうかを決めるのが1枚のコンポジットです。オーディションの場面でモデル自身が提出するのが、これまでのキャリアを示す作品集、ポートフォリオ。これはブックと言われる場合もあります。

金融業界でポートフォリオといえば、金融商品の組み合わせを意味します。特に投資では、一つの資産に集中しすぎることなく分散させるという意味合いになり、リスクとリターンを考えた上で、さまざまな金融商品を調整することを「ポートフォリオを組む」と言います。分散投資はリスクを軽減することができますが、反面、大きな利益を得にくくなります。けれども市場の動向に引きずられすぎないというメリットがあります。

経営上でもポートフォリオは分散の意味を持ち、企業資産を集中させすぎずに適度に分け、事業の組み替えをしていくことを示します。こうした経営手法はポートフォリオ経営と言われ、事業の収益や成長の見込み、市場における需要など、分類された項目ごとに経営を分析していきます。こうした経営分析から、事業を客観的に見通すことができ、経営資源を効果的に配分することができます。

もう一つ、教育の分野でもポートフォリオという言葉は使われます。この場合、学習者が学習の成果を残したもののこと。ノートやレポート、答案用紙、図画工作作品など学習に関するものすべてがパーソナルポートフォリオとなります。対象が幅広いため、学習過程も見通せるので、結果だけではない、一元的な評価を下さなくなるというメリットがあります。

このようにポートフォリオの意味合いは、分野によって強調される要素が違ってきます。が、自分のキャリアや資産を一目でわかるように整理するという点では共通しています。よりわかりやすく、伝わるポートフォリオを作成することで、自分を見つめ直し、ステップアップへと繋げていきましょう。

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