Writingsコラム

血圧とストレス

ストレスは仕事や家庭生活、人間関係などで生じ、感じていない人はいないでしょう。昨今の経済状況の不透明さや人員削減などでの負担増、上司や部下からの圧力など、仕事がストレスになることも多いかもしれません。ストレスのせいで血圧が高めになってきたなんていう話もよく耳にします。高血圧は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心臓病、腎臓障害などの原因となります。血圧を上げる要因は、塩分の多い食生活、運動不足、喫煙習慣、ストレスなど。これら高血圧の原因から、ストレスに注目してみましょう。

まずは血圧の数値のおさらいから。医師の白衣を目にすると血圧が上がる場合があるため、診療室での血圧と、家庭内で測る血圧の正常値の範囲に差があります。ということで、診療時は最低90mmHg/最高140mmHg、家庭では80/135とされています。

若いときには気にならなかったのに、加齢とともに血圧が高くなっていくのは、血管の弾力性がなくなっていくからです。また、交感神経が働くと血管が収縮するため、血圧も高くなってしまいます。ストレスを感じると交感神経が働き、血圧が上がります。落ち着くと血圧が下がるのですが、ストレスが慢性的になると、血圧が高い状態が続くことになります。

そこでストレスを解消することが求められているのですが、飲酒や喫煙、暴食は逆効果です。リラックスを導く副交感神経を働かせ、適度な運動と組み合わせると良い効果をもたらします。そうしたことから、血圧高めの人には森林浴が推奨されています。

森林の遊歩道6キロを3.5時間歩くことでノルアドレナリンを減少させ、ドーパミン濃度が下がり、アンチエイジング指標である血中アデイポネクチンやDHEA-Sに好影響を与えるという結果が得られました。同じ条件で都市部を散策した時よりも、森林浴の方が血圧を下げる効果が見受けられたそうです。

木々が発する香り成分フィトンチッドを吸い込むとリラックスでき、鳥の鳴き声や澄んだ空気、風の音などを感じ取ることは、都会で感度を鈍らせていた五感に良い刺激を与えてくれます。心を動かされた風景を写真に撮ったり、絵にしてみることもリラックス効果を高めます。

冬の間眠っていた木々が芽吹き、若葉が茂る新緑が美しい季節。これからは森林浴にはぴったりのシーズンです。都会を少しだけ離れて、豊かな森を体感してみてはいかがでしょうか。

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