Writingsコラム

マグロについての一考察

年末年始のご馳走ということで、マグロを食べる機会が増えているかもしれません。刺身や寿司、丼物などでずっと親しんできているマグロですが、身近すぎて、詳しいことを知っているのかどうかも不明なところ。マグロを食べる機会が増える今だからこそ、長年の友であるマグロについての知識の精度を上げていきましょう。

まずはマグロの種類から。最高級品と言われる「マグロの王様」クロマグロですが、通称「本マグロ」。最大で体調4m、400kgを超えることもあるとか。黒光りする魚体で高値がつくことから「黒いダイヤ」の異名もあります。豊洲市場で毎年最高値がつくマグロといえば青森県大間沖で獲れた大間マグロですが、北海道戸井や松前・噴火湾沖など、近海で獲れるクロマグロは冷凍されず、生で市場に出回るために高値がつきます。

次に高級と言われているのがミナミマグロ。主にインド洋などで獲られているため「インドマグロ」とも呼ばれます。近海ではなく遠洋で獲れるために冷凍となりますが、赤みが甘く、鮨飯との相性が抜群に良いということで、こだわりを持って仕入れる寿司職人もいるほどです。

価格的にお手頃とされるのがメバチマグロです。目がぱっちりして大きめなのでその名がつきました。あっさりしていながらも旨味は十分にあり、回転寿司やスーパーなどで目にすることも多いと思います。

キハダマグロは漢字で「黄肌」と表記されるように、体表が黄色っぽいのが特徴です。身は淡白で脂が少なく、あっさりしているため、ツナ缶の原料となることも多いマグロです。ビンナガマグロも缶詰の原料としてお馴染みで、「ビンナガ」「ビンチョウ」という愛称でも呼ばれ、煮たり揚げたり、庶民の食を支える存在です。

1990年代頃までは、スーパーや回転寿司ではクロマグロやミナミマグロを見かけることはありませんでした。養殖と蓄養マグロが充実してきたせいで、値段は高めではあるものの、一般的になりました。養殖マグロは卵から成魚になるまで育てる手法で、日本では和歌山県串本、沖縄、奄美大島、長崎県福江で行われています。蓄養マグロは若魚や成魚を捕まえてきて、餌をやり、天然物では1〜2割程度しかないトロ部分を2〜4割まで脂を蓄えさせる手法で、日本以外でもスペイン、マルタ島、イタリア、オーストラリアなど世界各地で行われています。マグロ需要の高まりと共に蓄養が世界中で行われてきたために、クロマグロやミナミマグロの価格が安定してきたという側面もあります。

マグロは縁起物として好まれ、めでたい席にはたびたびに登場します。身の赤さが生命力や情熱を象徴していると言われているためです。大きな魚体から豊かさを表すと言われ、特にクロマグロは希少さと高級感から縁起の良さにつながるとされているようです。冷凍していない、生のクロマグロは美味しさも極上ですが、値段も張ります。そして冬はクロマグロに脂が乗って美味しくなる季節。滅多に味わえないご馳走として、年末年始に買い求める人が「縁起がいい」ということも強調したのかもしれません。

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