Writingsコラム

湿気と髪の毛のうねり

ジメジメと湿気の高い季節は、髪がうねったり膨張したりパサついたりと、ヘアスタイルがうまく決まってくれないものです。どうして湿度が高いと髪の状態は悪くなるのでしょうか。

まずは髪の毛の構造についての基礎知識を。髪は外側部分がキューティクルというウロコ状のものに包まれています。その下にあるのが髪の8割を占めるタンパク質と脂質でできた繊維状のコルテックス。中心に管のような形状をした柔らかいメデュラという、外部からの衝撃を引き受け、保温する役割を果たす組織があります。よく知られているのは表面を覆っているキューティクルで、中身のコルテックスが流れ出て行かないように保護する役割を担っています。

キューティクルは水で膨張し、柔らかさが増すため、濡れている髪を不用意にこすったりすると、欠けたり剥がれたりします。キューティクル同士をつないでいるのは18-MEAという物質で、髪のツヤや手触りにも関わっています。が、ヘアカラーをすると18-MEAは8割ほど失われてしまいます。また、紫外線にも弱く、いわゆる髪の痛みの原因は18-MEAの不足から起こります。けれども18-MEAは髪に付着させることが難しい物質です。

雨の日は湿度が高くなり、髪の毛は空気中から水分を取り込んでしまうことから、膨張します。湿気は髪のボリュームがアップしたりうねったりする原因なのですが、髪のダメージによってキューティクルが剥がれてしまっていると、もともと髪の中にある水分が不足していることも重なって、より多くの水分を取り込もうと、うねりが大きくなってしまいます。

キューティクルは、濡れていると剥がれやすいものですから、シャンプー後には完全に乾かしておくのが美髪を保つポイントとなります。ドライヤーを使って、まずは熱風で髪の根元から毛先に向かって全体を乾かし、柔らかくなっているキューティクルを下方向の状態に戻すために、上から45度くらいの角度で冷風を当て、仕上げていきます。

クセ毛や柔らかい髪質の人も湿気の影響を受けやすくなっています。これは髪の中身のタンパク質構造が人によって違っているからです。クセ毛や軟毛の人はタンパク質の構造が不均衡なので、乾いていても髪にうねりが生じます。水分を吸収すると、さらにうねりが激しくなるので、ストレートヘアの人よりも湿気の影響を受けやすくなってしまうのです。

ストレートヘアの人も、乾かし方が上手くいっていないと髪がうねります。軟毛の人は水分を吸収しすぎてボリュームダウンしてしまうこともあります。これらを治すには、髪を根元から濡らした後、ヘアミルクやヘアオイルをつけて髪をコーディングした後、根元から毛先に向かっては熱風、その後、冷風を使って上から45度の角度で、という正しい手順で乾かします。

髪のうねりを軽減してくれるシャンプーやスタイリング剤など、たくさん発売されていて、梅雨の季節はよく目に入ります。自分に合った製品を見つけていくのも大事ですが、ヘアスタイルによってスタイリングが楽になることもあり、髪のうねりをチャームポイントに変える方法もあります。なんとか理想のスタイルに近づけようとする努力も尊いものですが、考え方を少し変えてみるのも一つの手です。

アーカイブ

ページ上部へ戻る