Writingsコラム

変わりゆく消費スタイル

本コラムでは度々取り上げているテーマですが、消費者のニーズというものは日々変化しています。かつて売れていた商品がパタッと売れなくなったり、その逆があったり。また、時代遅れと思われていたものが復活し、ひそかなブームとなっていたり。消費者の選好は何かのきっかけで頻繁に変わるのです。
高度経済成長期には大量生産・大量消費が主流でしたが、それとは異なる価値観として、「良いものを長く使う」消費スタイルがあります。

デザインや品質面だけでなく、資源の有効活用や持続可能性といったエコロジーの観点からもそのような消費スタイルを支持している方も多いでしょう。昨今では、とりわけ先進国の消費者には、モノが充足したことによって物欲が薄れる傾向が出てきており、所有物を減らしたライフスタイルを実践している方もいます。
また、それとは違った興味深い例として、リバイバルブームがあります。
例えば、音楽の視聴スタイルの多様化です。スマホとヘッドフォンでストリーミングサービスを利用して聴くというスタイルが若者を中心に増えつつありますが、まだまだCDも買われています。その一方で、近年、レコードのプレス枚数が増えているということが言われています。
レコードのアナログ特有の音の良さに感動したり、ジャケットの大きさやアートワークなどに新鮮さを覚え、購入している消費者が増えているのです。彼らの大半は、もともとはレコードを知らない世代です。音質やデザインといった観点からレコードを所有するという消費スタイルを知り、視聴に伴う手間やメンテナンスなども含め、楽しみを見出しているのです。
またさらには、欧米ではあえてカセットテープで新譜を出すアーティストがおり、一定のセールスを記録しているということもニュースで取り上げられていました。
消費のスタイルや価値観は人の気持ちそのものとも言え、常に移り変わっています。今後も興味深い事例を探っていきます。

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