Writingsコラム

基礎と応用(2)

ビジネスの現場では、集積したデータに基づく意思決定が求められる場面が増えており、ビッグデータを活用したデータ・アナリティクスの重要性が言われるようになって久しいです。一方、その専門家であるデータサイエンティストは数万人単位で不足しており、データ・リテラシーの高い人材の育成が急務だということも言われています。

不足の一因としては、従来の社内外ネットワークのみならずインターネットを介して蓄積された様々なデータをビジネスに活用すること自体がこれまでにない新しい取り組みであり、業種業態でデータの種類や有効な活用法が異なっていること、製品・サービスのサイクルが短いこと等々から、一般的な方法論や定式化された分析モデルの確立が途上であることが挙げられるでしょう。

ところで、そのデータ・アナリティクスの基礎にあるのは統計学や確率論であり、これらは一般的で普遍的なスキルです。どのようなソフトや分析ツールを用いたとしても、データ・アナリティクスの基礎には統計や確率があります。

現在、データサイエンティストという仕事の一般的な定義や業務内容は容易にイメージできるものではなく、業種業態だけでなく、経営、マーケティング、販売など、部門によっても求められる分析の度合いや領域は様々です。要は、分析の目的を定め、分析方法や分析結果の解釈の仕方から検討し、自ら施策を構築するつもりで取り組む必要があるということです。それゆえ、ロジカルかつクリティカルな頭脳が求められます。

となると、学生時代に統計や確率など数学にあまりなじみがなかったとしても、論理的思考や推論・仮説検証などが苦手でなければ、サイエンティストになる道が開かれているかもしれません。社会人であっても、今から数学の基礎をしっかりと学び直して原理原則を十分理解すれば、その基礎的な知識や分析手法を応用・発展させる形で、自社の事業に役立つデータ・アナリティクスに取り組める可能性があるということが言えるでしょう。(次回につづく)

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