Writingsコラム

漂着物を愛でるビーチコーミング

海岸(beach)を、クシでとかす(combing)ように、くまなく丁寧に漂着物を探していくことをビーチコーミングと言います。浜辺を歩いたとき、貝殻や流木など、気になるものを拾うことは誰にでもある体験です。年齢を問わず、誰にでも気軽にできるビーチコーミングを、改めてご紹介します。

ビーチコーミングで代表的なものは貝殻でしょう。陶磁器のような質感のタカラガイは蒐集家に人気が高いものですが、自分のセンスに響いたのならば、貝の破片も立派な収集品。お気に入りのものが見つかったら、アクセサリーに加工してもいいかもしれません。ガラスや陶器の破片といった人工物も独自の魅力があります。見知らぬ国から流れてきた空き瓶などに興味を惹かれる人もいるでしょう。

海に囲まれている日本では、昔から漂着物を拾い、再利用していました。江戸時代では、遭難船の漂着物は半年ほど保管し、持ち主が現れない場合は、村の共有財産とするというルールがありました。両手で持ち帰ることのできるものは個人のものとしていいという決まりもあったようです。

漂着物は、北半球だと右側に流れていきます。ということで、南向きの海岸では東風、西向きの海岸では南風が長く吹いた後に、たくさん流れ着きます。日本海側では冬になると北風に乗って漂着物が現れます。満ち潮だと海岸が埋まってしまうので、引き潮時を狙うのが基本です。

拾うときに気をつけたいのが、迂闊に素手で漂着物に触れないということです。毒を持った生き物かもしれませんし、問題ある廃棄物である可能性もあります。少しでも危険を感じたら触れないようにしましょう。

海で泳ぐ夏が終わり、静かになった海岸を散歩するのが楽しい季節になりました。一人で想像を巡らせながら歩くのもいいですし、収集せずに写真にとって楽しむという方法もあります。自分に合ったビーチコーミングを楽しんでみてください。

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