Writingsコラム

再生可能エネルギーへの試み

二酸化炭素排出量削減のために、石油や石炭などの化石燃料から、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーへと切り替えようと世界が動き出しています。それに伴い、移行期特有の検討事項も発生してきました。どんなことが起きつつあるのか、かいつまんでご紹介します。

よく言われる再生可能エネルギーの欠点は、太陽光や風力発電は天候に左右されるため、不安定だという点です。その点、水力と地熱は安定的ですが、日本の発電施設の規模はまだまだ小規模で、これからの大規模開発が待たれます。また、太陽光は風力に比べて発電効率が良くありません。特に冬季の日照時間が短いヨーロッパでは、再生可能エネルギーの主力を発電効率の高い風力に切り替えようとしています。増設が進む一方、風車を設置する土地が足りなくなり、洋上への設備設置に切り替わってきています。

日本では、2012年より電力の固定買取価格制度が始まり、メガソーラーと呼ばれる大規模設置業者が数多く参入しました。あれから10年ほど経った今、パネルの汚れと故障が増え出し、発電効率はさらに低下しています。こういった老朽化した施設を効率化するために、保守・管理するビジネスが続々登場し、2021年5月からはオリックスの子会社オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメントが参入しています。日本でも徐々に新規設置のための土地確保も難しくなってきている今、太陽光発電は、増設よりもメンテナンスビジネスへと変化しているようです。

木材や家畜のふん、食品工場や家庭から出る生ゴミ等を原料に行うバイオマス発電は、安定的に電気を供給でき、原料によっては堆肥としてリサイクルできる循環システムを構築することができます。そのため、自治体を中心に地域の事情に合わせたさまざまな取り組みがなされています。

木材を原料とする発電システムは、木材の加工費、近くに発電所がない場合は運送費が高くなるといった、コスト面での問題が持ち上がりつつあります。また、海外では森林破壊に繋がる例も出てきており、より慎重な運用が求められています。しかしながらバイオマス発電は、林業や畜産といった第一次産業と密接な関係があり、発電と消費を一つの地域でまかなうことができれば、持続可能な循環型社会が成立します。一つのやり方に固執することなく、異なる地域の実情に合わせた運用と技術開発が成功の鍵となりそうです。

再生可能エネルギーは発展途中の成長分野です。新しい発明や技術がたくさん打ち出され、試されていく過程をこれからもっと目撃することになるでしょう。

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