Writingsコラム

酸っぱい味で健康管理

暑くなると、さっぱりしたものがおいしく感じます。塩味などのシンプルな味付け、すっとするミントのような清涼感など、さっぱりするものはたくさんありますが、中でも酸味は人が味わう五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)の中の一つであるため、長く付き合ってきた歴史があります。さて、酸味にはどんな種類があって、どう役立つのでしょうか?

酸味は、味覚が未熟な幼年時には、未成熟の果実や腐った食物の味として警戒されます。子供が酸っぱいものが苦手なのはそのせいです。けれども経験を重ねるにつれ、食欲増進や、エネルギー代謝をもたらして疲労回復効果を実感するなどして、次第に好まれるようになってきます。

酸味には大きく分けて5種類あります。お酢の味である酢酸は日本人には非常になじみある酸味です。ぬか漬けやヨーグルト、キムチなど乳酸菌から発生する乳酸。リンゴなど、フルーツの発酵から生まれるリンゴ酸。レモンに代表される強い酸味のクエン酸。ビタミンCのことであるアスコルビン酸も酸味の一つ。ご存じのようにビタミンCはキウイやブロッコリー、キャベツなど野菜やフルーツに含まれており、抗酸化作用があります。ストレスや疲労など、体に溜まった活性酸素を減らし、酸化を抑制してくれます。

クエン酸回路という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは、クエン酸がエネルギーを作り出すシステムのこと。運動して糖が消費されるとエネルギーが不足します。そこにクエン酸を代謝の過程に加えると、エネルギーの代謝が高まります。運動時にハチミツ漬けのレモンを補給するといいという説はここからきています。クエン酸単体ではエネルギー代謝が起こらないので、糖質であるハチミツを合わせて摂取するのが良いのだとか。疲労回復には豚肉などビタミンB1を含む食品と共に摂るのも効果的です。

乳酸菌が作り出す乳酸は、腸内細菌を育ててくれます。海藻や根菜類に含まれる水溶性の食物繊維、大豆やバナナなどに含まれるオリゴ糖、ご飯に代表される難消化性のデンプンと一緒に摂取すると、腸内細菌がよく育ち、腸内環境が良好になります。

酸味があることで、減塩効果も期待できます。スープなどカップ1杯の料理に酢小さじ1杯という量でも酸味は認識できないので、減塩の隠し味に酢を利用するのは良い方法です。

このように酸味は健康に有益ですが、一方で酸味が嫌いという人も一定数います。胃酸過多や逆流性食道炎など、胃酸が逆流しやすい人にとって酸味は大敵です。無理せず、自分の体質に合わせ、上手に酸味を取り入れていけるといいですね。

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