Writingsコラム
DEIを大切にする企業

就職活動時にDEIという言葉を目にすることが多いかと思います。改めてDEIとは何かを知り、そして企業がなぜDEIを推進するのか、その理由を考えてきましょう。
DEIとは多様性(Diversity)、公正性(Equity)、包括性(Inclusion)の頭文字です。少し前まではD&Iという言葉が使われていましたが、公正性がそこに加わり、DEIとなりました。これは「あらゆる人が公平に扱われ、尊重され、組織や社会において包括される」状態のことで、そのための取り組みを行うことがDEIです。よってDEIを大切にする企業は、従業員の働きやすさにつながります。
まず、多様性ですが、性別や年齢、国籍にはもちろんのこと、生まれ育った環境、性的指向、信じる宗教等、その人を構成する要素。大雑把に、個性とまとめてしまってもいいかもしれません。包括性は、こうした異なる背景を持った人がいるということを、認め、尊重し、受け入れること。周囲が「間違っている」と決めつけたり、「普通になるように」と矯正を求めたりしない状態です。
簡単に例えてみると、多数派である、利き手が右の人が、左利きの人をそのまま認めることがD&I。無理やり多数派の右利きに矯正するのは、左利きの人にとって生きづらを生み出すことになります。左、右、利き手がどちらでも関係なく受け入れることが、多様性と包括性を持った環境であるということになります。
こうした環境を作るための要素が公正性。企業であれば、誰もが同じ条件で能力を発揮するように環境を整えることになります。ハサミを使う仕事であれば、左利きの人には左利き用のハサミを用意する。最初からハサミを使わないポジションに就いてもらうなどが、まず考えられます。さらに左利きが有利に働き、活躍できるように調整していくのがDEIの考え方。野球やテニスなど、左利きが有利に働くスポーツのように、特性を活かす場へと人員配置していくのがDEI企業です。
Equityと似た言葉にEquality(平等性)がありますが、これは高い場所にあるものを取る仕事のために、背の高さの違いに関係なく、同じ高さの台を与えること。同じ高さの台を使うと言うことで、平等ではありますが、背の高い人が楽になるばかりで、背の低い人は、ようやく背の高い人と同じラインに立っただけ、ということになってしまいます。
企業がDEIを進めているのは、左利きや右利き、背の高い低いも関係なく、多様な人材に活躍してもらって、利益を生み出したいからです。働く立場としては、自分の個性を受け入れ、抱えている困りごとに関して支援してくれたり、評価が公正である、といったDEI推進企業で、培ってきた能力を発揮したいと考えるのは当然です。ぜひ、DEIを企業選びの参考にしてください。