Writingsコラム

「惑星の逆行」って? 西洋占星術と天文学

星占いのサイトなどで「水星逆行の時期は、連絡ミスや交通関係のトラブルに注意」という文章を見かけたことがありませんか。占い好きにはよく知られた表現ですが、そうでない方には「惑星が逆行するってどういうこと?」と、不思議に思ったことがあるかもしれません。天体観測と占いの歴史をおさらいしていきましょう。

太陽系は太陽を中心に、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つの惑星が一定の周期で公転しています。教科書などに載っている、太陽系を俯瞰した図を見て学んだ現代人からすると、こうした惑星が逆行するなんてあり得ないことです。地球をはじめとした惑星は自転し、太陽の周りを同じ方向で回っていることは、誰もが共有している常識です。

しかし歴史を振り返ると、ある時期まで、地面は動くことなく天が動いているという考え方でした。こうした「天動説」で天体観測すると、惑星が西から東へ動く(順行)のは納得できても、東から西へ動く(逆行)現象は説明がつかず、長い間、天文学者を悩ませ続けていました。そんなわけで、惑星(planet)は「さまようもの、放浪者」という意味であるギリシア語の「プラネテス」から名付けられたのです。

逆行は、地球の外側にあたる火星、木星、土星、天王星、海王星を、地球が追い越すときに起きます。一方、地球の内側の惑星である水星、金星は公転周期が地球よりも短いため、逆行は外側の惑星よりも短い周期で発生します。つまり太陽から遠い惑星ほど逆行期間が長くなります。大まかにいって、水星は1年に3回3週間程度。金星は1年半に1ヶ月。火星は2年周期で10日。木星・土星・天王星・海王星は1年に1度5ヶ月ほど続きます。

ちなみに今の天文学では、冥王星は惑星ではなく、2006年に準惑星の扱いとなりましたが、占星術上では今も惑星のままです。冥王星が発見されたのは1930年で、世界恐慌やファシズムが台頭するなど、破壊と再生、世代交代などを象徴する星であると占星術において意味が定められたため、今も変わらず惑星とみなされているからです。付け加えると、恒星の太陽、衛星である月も、占星術では惑星と同じように扱われています。

メソポタミアで生まれた占星術は東西に広がり、地域ごとに変化していきました。現代日本で広く知られているのは、獅子座や乙女座など12星座を使った西洋占星術ですが、インド占星術は同じように12星座を用いても、基準点が違っていたり、さらに細かく分類していくなど異なる点が多々あります。さらに中国発祥の東洋占星術では、インド占星術と結びついた結果、宿曜占星術や四柱推命など、数多くのバリエーションを生み出しました。

このように占星術は同じ天体を観測した結果であるものの、地域によって違ったものが生まれ、現実を生きるためのちょっとした手助けになっています。私たちが日頃接している西洋占星術の世界で、最近、水星逆行が注目されているのは、通信のスピードが劇的に進化した現代社会のせいかもしれません。3ヶ月に一度に訪れる水星逆行の時期は、普段以上に慎重に、という星のお告げとして心に留め置いてみてはいかがでしょうか。

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