Writingsコラム

選択肢を持つこと(2)

『ライフ・シフト』では、「選択すること=選択肢(オプション)を閉ざすことにほかならない」と述べられています。その意味で、急ぐ必要のない選択を先延ばしにし、より多くの選択肢を持っていれば、マルチステージの長い人生の要所で自分自身を変えるハードルを低くできるでしょう。

つまり同書の「選択肢を持つことに価値がある」の含意は、「今後は寿命がさらに延びるが、働き方にも人生設計にもロールモデルは存在せず、人生をなかば手探りで歩んでいかなければならない。その際、選択肢が多いことは自分のあり方を変えやすいという意味でメリットがある」ということです。

ただ、何をどこまで背負うのか、何を買って所有するのか、どんなことに時間やお金を投資するのかといった選択は、個人の価値観や人生観と密接に結びついていますので良いも悪いもありません。過去に望んだ結果として、現状を変え得る選択がし難くなっていたとしても、納得していて支障を感じていないのなら問題はないです。

一方、やむを得ず多くを背負ってしまい、自分には選択の余地があまりない、可能性が乏しいというような後ろ向きな気持ちになってしまうこともあります。借金があり返済がなかなか進まない場合は誰でも気落ちするものです。例えば、アメリカや昨今は日本でも学生ローンや奨学金の返済に関する問題提起が増えています。卒業後、投資(学費)に見合った回収が出来ていると感じられず、生活すらままならない人もかつてより多くなっていることが議論を呼んでいます。

人生は個人的な事情だけでなく、その時代の社会経済状況からも大きく影響を受けます。しかし、過去の選択が正しくなかった、運が悪かったと感じて落ち込むことがあっても、結局はその選択を今後の教訓や糧にして一生懸命考え行動するしかありません。前向きに行動し続けなければ、展望は開けてこないからです。

選択の結果に責任をもつこと。結果を予測し、より良い選択を行なえるように最善を尽くすこと。『ライフ・シフト』が説く100年ライフを自分らしく生き抜くには、その自立した姿勢が重要になるのでしょう。

さて、『ライフ・シフト』を題材に、数回に分けて考察してみました。同書は、新しい人生のビジョンやキャリアチェンジの方法を示してくれるだけでなく、現在の中途採用や転職のあり方についても示唆を与えてくれます。求人企業にとっても転職希望者にとっても、採用活動と転職活動はより良い選択を行なうための取り組みであり、当社の役割は双方の選択をサポートすることです。今後も出会いを実りあるものにすべく最適な選択肢を双方にご提案できるよう専心してまいります。

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