Writingsコラム

リーダーの責任とは

経営者、管理職、マネジャー等、呼称は様々ですが、会社組織内でチームを率いるポジションに就く人材には、求められる役割とそれに伴い生じる責任があります。何回かに分け、リーダーシップについて役割と責任に着目し考察してみます。以下で述べることは学問的な定義や議論を参考にしてはいますが、主に当社の経験や実感に基づいています。

今回はまず責任について考えてみます。一つは組織内への責任であり、社内、部署内、何らかのプロジェクトチーム内に対して負うものです。昨今は雇用における慣行も変わってきてはいますが、経営者の場合は、全社員の社会生活に対して責任を負っていると言えるでしょう。部長であれば部署内の社員が主な対象であり、部下のパフォーマンスを把握し、コンディションの維持向上に留意しなければなりません。

もう一つは組織外への責任であり、顧客、消費者、取引先、仕入先、得意先、株主、出資者、債権者等に対して負うものです。資金調達や売上を得る方法は業種業態にもよりますが、端的に申し上げると、会社の信用によって得た資金や技術といったリソースをもとに事業を展開し、利益を上げることに伴う責任です。

役職や肩書き、組織内のポジションによって責任の及ぶ範囲や意思決定の重み、権限等は異なりますが、概ね上記のように区分できるかと思います。

ただ、現実的な側面として、組織行動論の大家、ジェフリー・フェファー教授(スタンフォード大学ビジネススクール)が著作で度々取り上げているように理想のリーダー像と実際とは異なり、責任の回避が横行し、自己の利益追求に邁進するリーダーが少なくないとの指摘もあります。同教授は欧米の企業を例にあげていますが、日本でもリーダー層の保身が起因となった不祥事のニュースをしばしば目にします。他方、当然ながらしっかりと社内外に対して責任を果たしているリーダーも多いです。

リーダーの責任は非常に重く、その所在や範囲、責任の取り方等の実態は大変興味深いですが、ここでは議論の単純化のため上記の区分を記述するだけにとどめます。また来月、プロジェクトを成功させるための必要条件として、リーダーが果たすべき役割について考えてみます。

参考文献:
ジェフリー・フェファー著『「権力」を握る人の法則』(日本経済新聞出版社)
ジェフリー・フェファー著『悪いヤツほど出世する』(日本経済新聞出版社)

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