Writingsコラム

リーダーの役割(1)

前々回のコラムでリーダーの責任について触れましたが、プロジェクトを成功させるためにリーダーが果たすべき役割とは何でしょうか。

学問的に厳密な定義や精緻な研究も多く、なかでも戸部良一(ほか著)『失敗の本質』(中央公論社)が大変参考になります。同書はリーダー論、組織論のロングセラーで、政治家や経営者が座右の書として紹介することもあり、度々話題に上る名著です。

以下では、当社のこれまでの経験に基づき、『失敗の本質』の見地も参考にしてリーダーの役割について考えてみます。組織およびチームの規模に関わらず、プロジェクトを成功させるための必要条件としてリーダーが担うべき役割は、戦略面と組織面から整理すると分かりやすいです。

まず戦略面の役割ですが、リーダーは、(1)チームの目的を明確化した上で、人的資源であるメンバーを集め、(2)戦略の志向性(チームで遂行する期間が短期か中期か長期かなど)を定め、(3)戦略を策定し、(4)戦略上、選択可能なオプションを整理し、(5)資金や技術といったリソースを確保して最適な配分を検討しなければなりません。

そして組織面の役割ですが、リーダーは、(6)チームの構造、指揮命令系統、メンバーの役割等を定め、(7)戦略の実行段階において、各メンバーからのアウトプットを把握、統合し、(8)その質と量を調整するために学習と評価の仕組みを取り入れ、(1)で明確化した目的に適う結果を追求しなければなりません。

上記をやや噛み砕いて申し上げると、リーダーの役割とは、「自社、所属部署、当該プロジェクトの目指すべき結果をチーム内に周知させ、最適な戦略を立案して着実に実行すべく、メンバーに方向性を示し、リソースを管理しながらチームを牽引すること」と言えるでしょう。(次回につづく)

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