Writingsコラム

消費者・顧客が片付けたい用事とは(1)

当社の専門は、デザイン、マーケティング、そしてブランディングです。企業にとってそれらの重要性は年々増すばかりで、優秀な人材が活躍できる機会は拡大しており、社員の能力アップのニーズも高まっています。

今回はデザイン、マーケティング、ブランディングの前提にある、ユーザー、消費者、顧客への洞察、理解に関わる「片付けたい用事(Jobs to be done)」という考え方をご紹介します。

提唱しているのは、既存事業と新規事業との間にある新陳代謝の課題を説明した「イノベーションのジレンマ」で有名なクレイトン・クリステンセン教授(ハーバードビジネススクール)です。教授は、マーケティングの最優先事項について「消費者・顧客の片付けたい用事を理解すること」と述べています。

誰しも何らかの片付けたい用事をもっており、その片付けを効率的に行いたいがために製品・サービスを購入する、という捉え方です。身近でイメージし易い例では、「間違った字をきれいに消したい」、その用事を片付けるために消しゴムを買う。「色々なモバイル機器を携行したくない」、その用事を片付けるために多機能なスマートフォンを買う、という具合です。消費者・顧客の用事をしっかりと片付けられる製品・サービスが支持を得、市場での競争に勝ち残ることができます。

片付けたい用事を洞察、理解する際のポイントの一つは、購買にいたる文脈(コンテクスト)を想定することです。クリステンセン教授が紹介している事例に、ミルクシェイクのエピソードがあります。アメリカでは、車の運転のお供にミルクシェイクを買うドライバーがいます。運転中に何か口にしたいとき、選択肢となる商品は色々とありますが、例えば、ハンドルがベタベタするのでドーナツはダメ、となります。また、ポロポロとカスが落ちるのでクッキーもダメです。

手や車内を汚さず、長時間楽しめて、お腹にも程よくたまるミルクシェイクが通勤前のドライバーに売れていたのはそんな理由からでした。(次回につづく)

参考文献:クレイトン M クリステンセンほか著『ジョブ理論 – イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』ハーパーコリンズ・ ジャパン

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