Writingsコラム

ダイバーシティについて(3)

蟻や蜂の集団でも課題ごとに「262の法則」のような傾向が観られるようです。つまり、人でも蟻でも、組織が直面する個々の課題に対応するメンバーの全体に占める割合は概ね決まっているということです。

平常時は活動がルーティーンで済むため、組織メンバーの同質性が高いと何かと効率的ですが、サバイバビリティの観点では、いざというときにマイナス面があるでしょう。選択肢の見極めや判断の仕方が似通ってしまい全員が同じ方向に進み、一気に全滅という事態もあり得ます。

メンバーが多様だと、多数派とは異なる行動をとる個体が必ずいて、その少数派が生き延びれば結果的に種の保存に繋がります。したがって、蟻や蜂の集団における262の法則は、自然淘汰を乗り越え培われた生存確率を上げるための合理的な分業の仕組みとも考えられます。

人間の企業組織においても同様のことがいえるでしょう。なぜダイバーシティが重要かというと、イノベーションやアイディアが企業の競争力を左右する現代では、社員の能力や思考、行動が様々だと、組織単位で勝ち残れる確率が総じて上がるからです。

多様性の維持はマネジメントコストの増加を招くかもしれませんが、メンバーが多様であることから生じる中長期的なベネフィットがコストを上回るのであれば問題ありません。ただし、その判断は個々の企業の利益測定のスパンにもよりますし、業種業態にもよります。

得意分野が異なるメンバーから成る組織が強いというのが、ダイバーシティが重要である所以です。人手不足が叫ばれるなか、今後はこれまで以上に、硬直的な基準ではなく、個々の能力を把握した上で適材適所の役割分担を行うことが売上利益に繋がっていくでしょう。

これからも当社は、企業の優れた組織作りに貢献できるよう専心してまいります。

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