Writingsコラム

タンパク質、足りてますか?

たくさんの食べ物に囲まれている私たちですが、現代日本人にはタンパク質が不足していると言われています。現在のタンパク質摂取量は終戦後の1950年代と同水準(※1)で、男女共に20〜50代の摂取量が年々低下しています。

人体の15〜20%を占めるタンパク質は、筋肉や臓器、髪、肌、爪、体内ホルモンや酵素、免疫物質などの原料であり、栄養素の運搬を行います。タンパク質は20種類のアミノ酸の様々な配列で構成され、そのうち9種類は体内で合成することができず、食事からしか摂取することができません。割合は少ないものの、体を動かすエネルギー源ともなります。体の細胞は日々入れ替わっているため、タンパク質は毎日摂取しなければならない栄養素です。

タンパク質が不足すると筋肉量が減り、基礎代謝量が落ちます。そうなると摂取したカロリーを消化しにくくなり、太りやすく痩せにくい体質に。放置しておくと内臓周りに脂肪がつくメタボリックシンドロームに。また、肌や髪の原料でもありますから、トラブルが起きやすくなります。神経伝達物質の原料もタンパク質ですから、集中力や思考力の低下を招くことになります。

1日あたり成人男性は50g、成人女性は40gの摂取が必要ですが、できれば男性60g、女性50gの摂取が推奨されています。激しい労働や運動をする人や、加齢により吸収率が低下していくので、摂取量は多めを心がけたいものです。

一口に50gのタンパク質が必要と言われても、どの程度食べたらいいか見当がつかない人が多いかと思います。例えば、牛もも肉100gで20.7g、鮭一切れ80gで17.8g、牛乳コップ1杯180gで5.9g、卵1個(50g)で6.8g。単品で一気に摂るのは意外に難しいものです。1日の総量を考えながら食品を組み合わせて摂取していく必要があります。

「面倒だ」という方は、補助食としてプロテイン飲料を併用するという手もあります。しかし、あくまでもベースはバランスのいい食生活。タンパク質の多い食品は脂質とカロリーが高いことも多いものです。納豆1パック(50g)で8.3g、ベビーチーズ1個(15g)で3gなど、他の栄養素も豊富に含む豆や乳製品などを活用して、こまめに摂取していきましょう。

肉類を避けるダイエットや、炭水化物が多いインスタント食品や丼ものなどを中心とした食生活は、タンパク質不足に陥りやすくなっています。健康な毎日を過ごすためにも、積極的にタンパク質を摂取していきましょう。

※1平成29(2017)年国民健康・栄養調査(厚生労働省)より
※2日本人の食事摂取基準2015(厚生労働省)より
タンパク質量は「新しいタンパク質の教科書」監修:上西一弘/池田書店刊を参照

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