Writingsコラム

モノ余りの時代に本物を知ること(1)

多くの商品やサービスが生まれては消える現代。とりわけ先進国では供給過多と言える状況なのかもしれません。
今後もまだ見ぬ画期的で斬新な製品が開発され、販売されるのだとは思いますが、現在の日本では戦後のようにモノが不足して困ったことになるという事態は幸い想像しにくいです。ともかく現在は、消費者にとって選り取り見取りの状態です。

さて、視点を私たちの日常の買い物に移してみると、例えばスーパーでは、魚はさばかれた状態でトレイに入れられて売られています。魚のさばき方やもともとの姿を知らなくても、手軽に消費することができます。肉もまたしかりです。加工食品もたくさん売られています。
消費者は魚や肉そのものだけでなく、産地からの運搬やさばく手間などサービスも消費しているのです。
衣類においては、日常的に着物で過ごす人は減っているのだと思います。その一方で、安価なフェイク(着物風の服)をコスプレ感覚で着て楽しむというムーブメントがあり、外国人観光客や若い人たちに人気だと聞きます。
それらは本物の着物では勿論なく、着物を着たような気分に浸たるためのものです。着物本来の素材や製法、質感などを知らなくても、気軽に着たような気分にはなれるのです。
また、似たようなデザインの製品は売り場にあふれ、発売当初は唯一無二の革新的な製品だったとしても、コモディティ化や他社による模倣や追随を防ぐことはなかなか難しいです。(次回につづく)

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