Writingsコラム

デザイン・シンキングのエッセンス

米IDEOの成功によってよく知られるようになった「デザイン・シンキング」は、優れたデザイナーに特有の感性や発想をビジネス上の問題解決に活用するための方法論です。具体的には、観察やインタビュー等を通じ、ユーザーの感覚や動作の機微を捉え、その洞察に基づきデザインする(発想し考案する)というものです。
デザイナーの視点で顧客志向を突き詰める方法とも言え、まったく新しく突飛な方法論というわけではありません。国内外で、過去に大ヒットした商品の中には、デザイン・シンキングに近い方法が用いられて開発されたものもありそうです。

昨今、デザイン・シンキングを製品デザインに留まらず、経営や組織の改革にまで取り入れようという試みが増えているのは、デザイン・シンキングがより本質的なアプローチ方法だからなのでしょう。ただ、当然ながら、デザイン・シンキングをプロジェクトにどう取り入れるかが重要になってきます。
ユーザーに根差した価値を生み出すためには、動線や心理に寄り添う姿勢が欠かせないでしょうし、「ユーザー」はプロジェクトの目的に応じて変わります。製品やサービスの開発の場合、「ユーザー」は消費者や生活者(BtoBの場合は従事者)を意味しますが、経営や組織改革における「ユーザー」は、社員や取引先にあたるでしょう。
ユーザーが誰であっても、対象となる相手をよくよく観察し、製品やサービス、あるいは制度や体制をどう設計すれば良いのか十分に検討することが、デザイン・シンキングのエッセンスです。
換言すると、ユーザーにとっての課題を見つけ出し、それを解決するための取り組み方から考えるということです。そのため、デザインに限らずマーケティング全般、さらには経営にとっても大変有益な方法になり得ると期待されているのです。
優れた方法論や最新の分析手法が経営や事業の運営、マーケティングやデザイン領域にどんなインパクトを与えるのか、今後も当社は探っていきます。

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