Writingsコラム

ワーク・シフトの可能性(1)

「働き方を変えていかないと生き残れない」。以前のコラムでも取り上げたように、企業でも個人レベルでも働き方改革が必要であるという論調を目にすることが増えています。その背景には、労働人口の減少、国際競争の激化、ITやAIの導入、テクノロジーの進化などがあります。

数年前に、リンダ・グラットン教授(ロンドン・ビジネススクール)の『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』(プレジデント社)がベストセラーになりました。今回と次回のコラムでは、『ワーク・シフト』をヒントに個人の働き方の可能性について考えてみます。

さて、グラットン教授は世界規模で進む大きな変化として次の5つを挙げています。
(1) テクノロジーの進化、(2) グローバル化の進展、(3) 人口構成の変化と長寿化、(4) 社会(意識や価値観)の変化、(5) エネルギー・環境問題の深刻化。

『ワーク・シフト』では、これら5つの変化を前提に2025年の働き方の予測が展開されています。例えば、ルーティーンに近い作業はAIやロボットに代替される一方で、イノベーションや問題解決が必要とされる仕事は人間が担い続けるため、2025年頃に自分らしく活き活きと働き、自己実現を果たすには、ハイレベルな専門技能が必要であると論じられています。

そして、その専門技能を身に付けるためには、(1) 知的資本(知識と知的思考力)、(2) 人間関係資本(人的ネットワーク)、(3) 情緒的資本が重要であり、それらを強化するうえで、「ゼネラリスト → 連続スペシャリスト」、「孤独な競争 → 恊働に基づくイノベーション」、「大量消費 → 情熱を傾けられる経験」、この3つのワーク・シフトが有効であると説いています。(次回につづく)

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