Writingsコラム

デザイナーの独立・起業に必要な能力(1)

当社は人材紹介以外にも、クライアントからのご要望に基づき、プロジェクトマネジメントや教育研修のサービスをご提供しています。それらはプロジェクトベースでデザイナーの方と恊働して進めるケースが大半で、デザイナーの皆さんの多くは独立して働いている方(個人事業主や会社経営者)です。今回は、デザイナーが独立して働いていく上での要件について考えてみます。

さて、デザイナーに限らず独立の動機やきっかけは様々です。「なんとなく独立することになった」「とある事情で独立せざるを得なかった」「独立してでもやりたい仕事があった」「独立が夢だった」「社内の出世レースに嫌気がさした」などなど、色々あるかと思います。

実際、独立すること自体は誰にでもできますが(退社し、そう宣言すれば良いわけですので)、問題は独立した立場で働き続けられるかどうかです。それは決して簡単なことではありません。「どんな業種においても、独立・起業しても3年後には約1割しか残っていない」といった類いのことをしばしば耳にしますが、過言ではないと感じます。やはり大半が何かしらの理由で続かなくなるというのが実態ではないでしょうか。

また、独立後の成功の形も様々です。売上や利益、事業規模の拡大なのか、高いクオリティの追求なのか、はたまた上場なのか。何を目指すのかも、その人の志向性によるからです。

ただし、独立後、その立場を維持できているデザイナーにはいくつかの共通項があります。豊富な経験をお持ちで、デザインすること自体の能力が高いのはもちろん、クライアントが抱える問題を可視化する能力やデザインを通じた解決方法を検討し、論理的に説明する能力がきわめて優れているということが言えます。

つまり、独りよがりではなく、クライアントやその先のユーザー・消費者のコンテクスト、動線、心理に寄り添った提案ができるのです。デザインの善し悪し以前に、コミュニケーション能力が高く、相手本位の姿勢や共感力、洞察力を持っています。また、非常に優秀なデザイナーは、聞いている相手が「この人にお願いしたい!」と心底思ってしまうようなプレゼンテーションができます。さらに、仕事が丁寧でクオリティも申し分ないため、仕事が仕事を呼ぶような好循環が廻るのです。(次回につづく)

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