Writingsコラム

デザイナーの独立に欠かせないマネジメント能力(1)

独立して働き続けられるデザイナーは、デザイナーとして非常に優秀です。ただし、独立・起業が軌道に乗って成功できるかどうかはデザイナーとしての能力だけでなく、マネジメント能力によっても大きく左右されます。

経験豊富で独立後の当面の仕事の目処がついていたとしても、労働量は会社員の頃よりも確実に増えます。なぜなら会社員時代には関わらずに済んでいた、経理、営業、社会保険や税金関連の事務など、デザインの実務以外のバックオフィス業務も自分でしなければならなくなるからです。

独立した当初は、登記(会社を設立する場合)、税や社会保険など諸々の手続きをしなければなりませんし、自宅以外に事務所を借りる場合は賃貸契約を結ぶ必要があります。資金が潤沢な状態でスタートできることは稀なので、事務を任せられる担当社員を雇い入れたり専門家に外注できるケースは多くないと思います。となると、それらもすべて自分でやらざるを得ず、効率的な方法を誰かが教えてくれるわけでもありません。

経理には所定の形式がありますし、営業には勘所の理解やツテも重要です。上述の通り、社労士や税理士といった専門家の手を借りることも選択肢ではありますが、独立当初はその費用の相場や誰に相談するのが良いのかも分からなかったりします。

つまり、独立・起業は経営そのものですので、デザイナー業を継続するために必要なすべての業務が自分自身に降り掛かるのです。マネジメント面に無頓着な場合、独立後、分からないことだらけで予想外に時間がとられ、デザインの実務に支障が出るという事態にもなりかねません。(次回につづく)

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