Writingsコラム

デザイナーの独立に欠かせないマネジメント能力(2)

独立・起業は経営そのものです。よって、デザイン業務以外にどんなことをしなければならないかを独立前にある程度シミュレーションすることが重要です。

既に独立して働いている知人や友人がいれば、話しを聞かせてもらうと参考になることも多いです。また、東京都中小企業振興公社のような機関に相談するのも良いでしょう。

独立・起業後の経営の内実は、端的に申し上げると、実際に生産し提供する商品やサービスの価値を高めることと、事業を継続させるために必要な業務を効率的に行うことの両方です。これはデザイナー業に限らず、すべての独立・起業に言えることです。

独立したいという思いが先行し経営的な視点が欠けていると、不測の事態を招きかねません。それを避けるためにも、自分はなぜ独立したいのか、売上の目処はあるのか、経費はどれくらいかかりそうか、新規顧客はどうやって開拓するのか、当座をしのげるだけの貯金や運転資金はあるのか、デザイン以外の事務にはどんなものがあってどれくらいの労力・時間が必要そうかなど、見通しや予測を立て、事業計画を検討することは必須です。

デザイン業務に専念したい場合は、経営能力や事務能力が優れている人を雇い入れる必要があるでしょうし(給与を支払える資金力が欠かせませんが)、自分でマネジメント面も見渡したいのであれば、まずは無理のない範囲で事業展開すべきです。後者の場合は、経営者である自分がデザイナーであるもう一人の自分を雇っているという認識、つまりメタ認知のような感覚が欠かせません。

独立して働き続けられているデザイナーの方々は、事業が成功する確率を上げるために日々最善を尽くしています。目指す経営のスタイルや成功の形もその人次第ですが、クライアント(そしてユーザーや消費者)本位の優れたデザインを生み出し、安定的に運営することができたなら、独立して働くことのやりがいや醍醐味は十分に感じられるはずです。

当社は今後もデザイナーの方々との協業を通じ、クオリティに重きを置き、プロジェクトマネジメントと教育研修のサービスを提供して参ります。

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