Writingsコラム

リーダーの役割(3)

消費者・顧客、部下・チームメンバー、双方を観察して理解することはリーダーの役割の前提であり、普段のコミュニケーションが基本です。戸部良一(ほか著)『失敗の本質』(中央公論社)で繰り返し述べられているように、戦略上の意思決定を行なうリーダーと現場との距離感が遠く、顧客への洞察を欠き、部下との意思疎通が乏しいと、いずれ失敗を招いてしまいます。

消費者・顧客が抱えている課題や要望、興味関心やニーズを把握するにはインサイト調査やグループインタビュー等も勿論有用ですが、日頃から製品・サービスに直接関わる情報提供や対面での提案と共に、雑談も含めたコミュニケーションを適切にとることが重要です。

同様に、部下・チームメンバーの性格や能力をよく理解するには、ややプライベートな事柄も含め個々の現状と課題に留意し、互いに話しかけやすい距離感を保ちます。

チーム内のコミュニケーションを円滑にするには、部下の考えや行動を尊重する姿勢や気配りも欠かせません。成功体験や経験則を説いたり、過去のエピソードを武勇伝のように語ってしまったり、一方的に指示を出しそうになっても自制し、まずは部下の話しを聞き、意向を汲む姿勢が信頼関係を深めます。その上で改善点や情報収集すべきポイントなど、学習・フィードバックが必要な点について指導すると良いでしょう。

また、部下のアウトプットの最終結果のみを一律で評価するのではなく、経過ごとの評価も有効です。部下には本番に強いタイプもいればその逆もいて、準備が遅いように見えても本番に間に合うとベストなパフォーマンスを発揮するような者もいたりとタイプが様々だからです。チーム全体でより良いパフォーマンスを引き出し、業績に繋がるように導くことがリーダーの役割ですので、日頃から個々の部下の考えを理解し、行動の経過と節目ごとの結果をあわせて観ておくことが肝要です。

リーダーが消費者・顧客と部下・チームメンバーの双方をよく観察し、信頼関係が維持されており、チームが機能的に戦略を実行することができれば、結果は確実についてくるはずです。お客様のことばかり観ていて部下を観るのを疎かにし、リーダーがスタンドプレーに走っていてはダメで、逆もまたしかりです。役割と責任への自覚があり、自らのマネジメントができていることが、戦略の実行と組織の管理の大前提です。

数回に分けてリーダーシップについて役割に着目し考察してみました。今後も当社は次世代のリーダーとなり得る人材のご紹介や教育研修のご提供を通じ、企業の発展に寄与できるよう努めてまいります。

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