Writingsコラム

長時間働くこと(3)

素朴な疑問として、なぜ長時間の残業がなくならないのでしょうか。また、なぜ労働生産性が低いと指摘されているのでしょうか。

長時間労働に繋がる人手不足以外の要因としては、業務の属人化、時間管理意識の低さ、業務効率の悪さ、業務の標準化不足、残業が当たり前、美徳とする雰囲気、過剰な品質追求、資料作成、会議の多さ・長さ、帰りにくい雰囲気等、様々な職場慣行が指摘されており、問題の根深さがうかがえます(参考:2017/10/31付け日本経済新聞朝刊)。

要因がこれだけ複雑で深刻だと、「さて、どうしたものか」と思考がフリーズしてしまいそうです。

しかし明らかなのは、戦後から高度成長期、バブル崩壊以後を支えた長時間労働を前提とする働き方が通用しなくなっているということです。それは社会経済状況やビジネス環境の変化、先進国の成熟化、労働力人口の減少等々、複合的な要因によるもので、すべての日本企業にとって所与の条件といえます。となると、それらの変化を前提として全社的に望ましい働き方を検討し、本腰を入れて実践しなければ生き残れません。

長時間労働が改善されない場合、その企業では色々な不都合が生じるでしょう。社員の労働生産性が慢性的に低下し、競争力のある製品・サービスが生まれにくくなることは容易に想像できます。

また、離職が増え、人材の採用にも支障をきたすことが予想されます。「あの会社は労働時間が長過ぎて、働きにくそう」というイメージが広まることはブランディングの観点からもマイナスです。(次回につづく)

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