Writingsコラム

採用活動におけるブランディングの重要性(2)

近年、行動経済学や消費者行動論、ニューロマーケティング等の研究を通じ、消費者・顧客の購買行動には潜在記憶が作用していることが分かってきました。

それはつまり、個々の消費者・顧客にとってブランドの価値は一定ではなく、何かをきっかけにコロッと変わり得る、無意識レベルで移り変わり易いということを示唆しています。

日頃の買い物では、「なんとなくいつも買っているから」のような習慣的な選択が大半です。また、「明確に何がどうとは言えないけれど、漠然と良いイメージをもっているから」というような選択や「そのカテゴリーで最初に思いついた製品だから」のように、時間や労力をかけずに購買候補の選択を済ませたりもします。

ハッキリした理由はなく、それまで買っていた商品を買わなくなり、その競合品をいつの間にか選ぶようになっていた、というのもしばしばあります。

購買のシチュエーションを改めて思い返すと、上記のように、限られた経験や曖昧で断片的な記憶と紐づく当該ブランドへのイメージが、購買行動に影響していると感じます。とりわけ、比較的安価な日常的な買い物や必需品の選択でこのケースが当てはまるかもしれません。

一方、買い替えのサイクルが長い製品や高額商品のような購買候補の絞り込みに慎重さが求められるケースでは、可能な限り情報収集し、予算制約下で努めて合理的に失敗しないように選ぼうとする傾向があります。自動車や住宅などはその最たる例です。

上記二つのパターンに共通しているのは、どんな購買行動においても、そのコンテクスト(購買に至る状況や背景)上で、「当該ブランドを思い浮かべる、あるいは目にし、選択肢に入れ、購買を意思決定する」という一連の情報処理プロセスに、ブランド連想が強く影響を与えているということです。(次回につづく)

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