Writingsコラム

専門性の高い清掃の世界

世界的にみて、日本は清潔だと言われていますが、清掃の仕事がきっちりと行われているから成り立つこと。しかし駅、列車、オフィス、ホテル、商業施設、工場、病院や介護施設など、必要とされている技能は場所によって違ってきます。

有名な新幹線の清掃は、東京駅に到着した新幹線が出発するまでの12分間で行わなければなりません。新幹線メンテナンス東海のスタッフの仕事ぶりは見事です。乗客が降りた直後、1両につき2人が乗り込み、座席カバーの取り替えや、ゴミの撤去、床の清掃など、目まぐるしい速さで、しかも完璧にやり遂げます。

病院や介護施設の清掃には、用心深さと注意力が必要になります。特に感染力が高く未知の疾病に対しては、国立感染予防研究所や、世界保健機構(WHO)、アメリカ疾病予防センター(CDC)等のガイドラインに従った高度な清掃を行うことになります。客船ダイヤモンド・プリンセス号の船内清掃の元請けは、災害復興を専門に行う会社アメリカのベルフォア社でした。欧米のスタッフ150人に加え、国内の業者も参加して行われた清掃作業は、手袋の着脱方法から始まり、入念な防疫教育の後、作業に取り掛かったそうです。

この清掃に参加したのは、特殊清掃と言われる分野の業者です。孤独死や事件・事故で亡くなった遺体の痕跡を取り除き、現場復帰まで掃除します。臭気や害虫などの駆除、必要であれば室内の解体なども行う、高度なスキルが必要な分野で、遺品整理なども一緒に請け負うこともあるようです。「特殊」な状況が多いだけに、現場を報告するノンフィクションや体験記が刊行され、ドラマ化されたこともありました。

専門的な分野が多い清掃の世界では、技能向上のために各種大会が開催されています。たとえば、全国ガラスクリーニング協会が主催するのは、日本ガラスクリーニング選手権。3枚のガラスを速く、美しく仕上げるタイムレースで、全身を使った職人技には圧倒されます。

清掃のプロが教えてくれる掃除法や道具などを検索してみると、驚きや発見に満ちている世界が広がっています。職人仕事を参考に、家の掃除に取り組んでみるのもおすすめですよ!

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