Writingsコラム

進化が加速しているスポーツテック

スポーツにテクノロジーを活用する「スポーツテック」。日々進化するテクノロジーが、スポーツ産業の発展を推し進めています。分野は拡大し、ニーズに合わせて細分化されていますが、基本的にスポーツを「観る」、選手をサポートする「支える」、スポーツを実際に楽しむ「する」という3つの要素で成り立っています。

「観る」に関しては、新型コロナの影響で、国内外のスポーツ観戦は大幅に制限されました。ファンとチームの間を繋ぐ手段として、オンラインを利用するニュースは、よく目にしているかと思います。認知度に関して野球やサッカーに遅れをとるバスケットリーグ(B.LEAGUE)は、ファン獲得に結びつくデジタル環境の開発に力を入れています。同リーグでは全チーム選手のファインプレーに対して投げ銭できる応援機能や、ハーフタイム時にファン参加ができるアプリの開発など、エンターテイメント性をテクノロジーで高めることに力を入れています。今後、その場にいるような臨場感を味わえるVR観戦も多くのスポーツ観戦に普及してきそうで、早期の実現が待たれます。

「支える」という面においては、スマートフォンやタブレットの普及による画像撮影の簡易化により、フォームの矯正指導などが中高校生の部活レベルにまで進んでいます。例えば、野球の場合、センサーをつけたボールを投げると球種や球速、回転数などを解析できたり、撮影した動画でフォームを分析することができるアプリがKDDI(au)で展開されています。部活動の現場では、専門コーチの不足、専門外の教師が顧問をせざるを得ないなどの問題点が長年上げられていましたが、スポーツテックがますます進化していくことで、問題解決へとつながることでしょう。

スポーツテックは「する」人の層を拡大してくれます。年齢やハンディキャップに関係なく行えるユニバーサルスポーツの普及や、健康管理をデジタルデバイスで管理するスポーツウェルネスの分野のさらなる利便化も進んでいます。また、体は動かさないオンラインゲームで対戦するeスポーツもスポーツテックの分野となります。

このようなスポーツテックの市場規模は、今後、もっと拡大する見通しで、国内市場では2019年度310億円から、25年度には1,547億円と3倍にもなると予測されています(※)。まだ巨大企業がさほど参入していない成長市場ですので、新しいベンチャー企業がたくさん出てくることでしょう。意外なところにビジネスチャンスが転がっているかもしれませんね。

※野村総合研究所ITナビゲーター2020年度版より

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