Writingsコラム

正社員が享受できるもの(1)

働き方が多様になってきたとはいえ、日本の雇用形態では正社員が望ましいという認識が一般的かと思います。では、なぜ正社員が良いと言われるのでしょうか。
理由の一つは、教育的な側面です。日本企業には、新卒を採用し、先輩社員が彼らを指導するという、社内で人材育成を行うサイクルがあります。

社会経済状況の変化や景気の動向、技術革新やコモディティ化、リーマンショックや震災などの不可抗力といった、様々な要因で採用数は増減してきましたが、企業が存続する上で人材育成は非常に重要です。有能な人材が豊富にいれば事業は発展し、業績が上がり、経営も安定するからです。逆に、人材育成が滞れば企業の成長も停滞します。
新卒の社員は、先輩社員からの指導を通じ、社会人としての基礎的な素養やビジネスのルールや常識、担当部署での仕事の進め方などを学ぶことができます。経験者である先輩からの直接的な指導は的を射ており効率的です。
一方、先輩社員は指導することを通じて、部下を持つ立場として自分にどんな能力や知識が備わっており、何が足りていないのかを認識することになります。また、メンターとして振る舞おうと努めることでマネジメント能力も培われます。
両者がそれぞれ学び合うことで能力が高まり、業績に寄与するこの関係は、新卒に限らず他の階層の上司と部下との間にもあり、企業にとって世代の異なる人材を正社員で長期雇用することの利点といえます。(次回につづく)

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