Writingsコラム

与件を捉えること(2)

経営戦略や事業計画、マーケティング戦略等を立案する際、有用な手法の一つにPEST分析があります。

これは、政治的(Political)、経済的(Economic)、社会的(Social)、技術的(Technological)の観点で外部環境を把握分析し、その評価に基づき最適な活動を検討するためのものです。

経済学の系譜に即した「与件」の厳密な定義はありますが、ビジネスにおける与件とはこのPESTを指すともいえ、個々の企業には変えることの出来ない、裁量の及ばない部分です。どんな与件が自社に影響し、さらにどんな変化が起きそうか、その予測が欠かせません。

与件を踏まえた意思決定は、企業レベルはもちろん個々の社員においても有益です。例えば、部下をもつ管理職であれば、自社あるいは所属部署、自部門にとっての与件を多面的に把握することが重要になります。

部下と上司の間で板挟みになり、悩む中間管理職は少なくありません。また、ビジネスでは取引先と顧客との間、あるいは、取引先と自社の他部署との間など、利害が複雑に絡む主体間で様々な調整が必要になり、難航するケースも頻繁にあります。

そんなとき、自分にとっては与件であり意思決定の権限がないにも関わらず、立場上、プレッシャーに直面する状況は本当に悩ましく、苦しい気持ちになるものです。(次回につづく)

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