Writingsコラム

情けは人の為ならず(2)

人としての正しい道や生きやすくなるコツなどを示唆する「ことわざ」は、個人生活はもちろん、ビジネスの現場や日々の仕事においても指針になります。つまり、思い悩んだり、意思決定を迷った際に、拠り所やヒントになるものです。

「情けは人の為ならず」などは誰もが子供の頃から耳にしていますが、そのような行動をどんな場面でとれるかは人それぞれです。

ところでビジネスでは、組織的な利益追求が個人的な利益には必ずしも結びつかないケースがあり、その逆もあります。望ましいのは、組織的な利益が個人的な利益になり、それが社会通念上相当で道理にかなうことですが、利害関係が複雑だと一筋縄ではいかないのが難しいところです。

利害関係がどんなものであっても、「情け」のかけ方、言うなれば「どの相手にいつどんな行動をとるのか」は、ビジネスのコミュニケーションにおいて中長期で影響を与えます。

例えば、創業経営者や個人事業主、フリーランサーのように、独立した立場で働いている方には腑に落ちることわざだと思います。昔から言われているように、ビジネス上の相手本位な行為は、たとえすぐに売上や利益に結びつかなくても、評判への影響が期待できるからです。

その影響は比較的ダイレクトです。「あの人(会社)は自分に対してここまでしてくれた」「あの人の行動を見ると、何を大切にしているのか、行動指針や論理がわかる」のように、口コミは良いものばかりではありませんが、好意的な評判が広がると、それをきっかけに新規の受注に繋がったりもしますし、総じて仕事がしやすくなるのは間違いありません。

では、組織内で働く会社員はどうでしょう。上記のように組織の利益追求は個人の利益と相反する場合もあるため、シンプルな因果関係や相関関係ではないかもしれませんが、本質的には「情けは人の為ならず」は組織内の人間関係においても言えるでしょう。(次回につづく)

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