Writingsコラム

ジョンズ・ホプキンズ大学とは?

新型コロナウィルス対策を行っている専門家の経歴の中で、頻繁に目にする大学名がアメリカのジョンズ・ホプキンズ大学。なんでも医学部は全米屈指の難関校で、大学病院は常に全米ベスト・ホスピタル(※)の上位にランクイン。いったいどんな大学なのか気になりませんか?

大学は1876年、実業家で銀行家であったジョンズ・ホプキンズ氏の寄付によって、メリーランド州ボルティモアに設立されました。基本方針は「教育、研究、研究者養成」。当時、最先端であったドイツで学んだ学者たちを集め、科学研究を中心にレベルの向上に努めたため、後に全米の大学院教育の見本となりました。

1893年、女学生の入学を条件に、婦人団体から寄付を受けて医学部が誕生します。1912年にはメリーランド州の補助を受けて工学大学院が、1918年にはロックフェラー財団の寄付を受け、公衆衛生大学院が誕生します。世界初にして最大規模の公衆衛生大学院は、以降、世界保健機関(WHO)で天然痘の撲滅を主導したドナルド・ヘンダーソン博士など、有力な研究者を世に送り出しています。

メリーランド州にはアメリカ国立衛生研究所があります。当然ながらジョンズ・ホプキンズ大学との縁も深く、研究資金を得ての専門研究が多数行われています。感染症対策をはじめ、政府各機関から出ている報告書には、公衆衛生大学院で学んだ研究者の名前が数多く見受けられます。

余談ながら、以前の五千円札の顔であった新渡戸稲造が、ジョンズ・ホプキンズ大学で学んでいたことがありました。1884年から3年間私費で学びましたが、中退してドイツへ官費留学します。ですが、最初の本「日米通交史」はジョンズ・ホプキンズ大学から出版され、名誉博士号を得ています。

意外なつながりも発見できるジョンズ・ホプキンズ大学。ここで学んだ研究者たちは、今後も多くの命を救うことを期待されています。

※Best Hospital in the United States : 時事解説誌U.S. News & World Reportが毎年発表する格付け。

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