Writingsコラム

沖縄の生活を彩る植物、月桃

月桃(げっとう)は、東南アジアに原産で沖縄を中心に九州南部に分布するショウガ科の植物です。沖縄ではサンニンと呼ばれ、奄美諸島ではサネンと言われているようです。笹に似た幅広で長い葉に、蘭のような白い花をつける南国情緒あふれる月桃は、島内さまざまな場所に自生していますし、家の庭先でもよく見かけます。薬草として親しまれ、「神秘の命薬(ぬちぐすい)」として愛されてきました。

沖縄では旧暦の12月8日、月桃の葉に餅を包んで蒸しあげた鬼餅を食べて厄払いをする習慣があります。月桃の葉は甘く香り、防菌・防カビ作用があると言われ、肉や魚を蒸し焼きにしたり、饅頭を包んだりして、風味と実用性を取り入れていました。種は、お茶にすることが多く、胃腸によいとされています。

月桃には消臭効果もあり、干した葉を消臭剤代わりに靴箱やタンスに入れることもあります。生ゴミ近くに置けば羽虫が来ないとも言われ、防虫対策として使われてもいます。そこから月桃の葉のエキスを配合した防虫スプレーが生まれ、ペットや子供に優しいと人気があるようです。パルプ原料として、葉の繊維質を紙やボードに混ぜ込むことで、消臭・防虫効果を期待した内装素材は、沖縄らしさにこだわったリゾートホテル等で採用されています。

美容面でも月桃は注目されています。ワインの30倍のポリフェノールを含み、コラーゲン生成を促進する作用があると、スキンケア化粧品を始め、ヘアケア、洗顔料など、沖縄発のご当地コスメに使われています。成分表にある「ゲットウの葉エキス」には抗老化、美白、シワ対策、保水と、女性にとって嬉しい効果が揃っています。

長年、沖縄の強い紫外線に負けない肌づくりのサポートを担ってきた月桃ですから、全国的な夏コスメのキャンペーンの主役に躍り出る可能性も十分ありそうです。今後の動向が注目されます。

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