Writingsコラム

フードテックで食の未来が変わる

フードテック(Food Tech)とは、食糧の生産から加工、流通、消費に至る一連の流れをIT技術で見直し、改革していくことです。今までに、金融や教育、建設など、各業界が最新テクノロジーで変革されてきましたが、「食」の分野は幅広く、世界的にみて市場規模は700兆円ほどと言われています。なぜこんなに巨大市場なのかといえば、人は食べなければ生きていけませんし、生産から消費までのサプライチェーンが広範囲に渡るためです。ここでは食料の生産と加工に絞って、フードテックを眺めてみましょう。

まずは農業の省力化、効率化を狙って開発されたヤンマーのトラクター。2018年10月、それまで勘と経験に頼っていた高度な作業を自動化し、最小限の作業で済む「オートトラクター」を発売。現在は無人化を目指した次世代機「ロボットトラクター」を開発中です。

酪農・畜産の生産向上を目指して作られたのは、ファームノートのクラウド牛群管理システム。スマートフォンやタブレットのアプリによるタッチ操作だけで牛の個体情報を簡単に登録し、管理していくシステムは、第8回「ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞受賞。小規模・大規模牧場問わず、繁殖から出荷まで、きめ細かく運用できる汎用性が評価されています。

牛や豚、鳥などの食肉の生産コストや環境面での問題、健康や宗教等、さまざまな理由から、代替肉(フェイクミート)に切り替える人も増えてきています。今のところ、海外メーカーの成長が著しいですが、日本でもベンチャー企業をはじめ、大手では味噌メーカーのマルコメが大豆ミートを使用したハンバーグ「ゼロミート」を発売するなど、流れは確実にできつつあります。

そして肉の本質であるタンパク質に注目した結果、昆虫食もクローズアップされてきました。中でも注目株はコオロギです。穏やかで逃げ出さない性質なので、飼育が簡単。飼料も哺乳類に比べたら少なくて済み、育つスピードも早いと、いいところだらけ。あとは昆虫を食べるという心理的ハードルを下げるだけです。フィンランドの大手食品会社フィッツェルではコオロギパンをはじめ、スナック類にも粉末が入れられているようです。日本でもANTCICADA(アントシカダ)から100匹のコオロギを使用したラーメンが出たり、無印良品でコオロギせんべいが発売されたりと、何かと話題になっています。

食糧不足への懸念や人手不足など、人類が抱える食の問題はたくさんあります。それらを解決するために、フードテックというワードは、今後ますます目にすることになりそうです。

アーカイブ

ページ上部へ戻る