Writingsコラム

猫と添い遂げる社会へ

新型コロナの影響で在宅時間が増えたため、猫を飼いたいという要望が増えています。現在のペット需要では、毎日の散歩が必要な犬よりも、猫の人気が高いようです。しかし「飼いきれない」「イメージと違った」「アレルギーを発症した」などの理由で猫を引き取って欲しいと、保護団体やボランティア、または殺処分のために保健所へと持ち込まれるケースも増加しているようです。

ペット先進国と言われるドイツでは犬猫の殺処分ゼロを実現しています。「ティアハイム」と呼ばれる民間の動物保護施設では、犬猫だけではなく鳥や爬虫類など様々なペットが暮らしており、寄付や会員の会費で費用がまかなわれています。ですが、先進国と言われるドイツであっても、長期のバカンスの前にこの保護施設にペットを連れてくるという悲しい事例があるそうです。

日本でも殺処分されるペットをできるだけ減らそうという運動はあります。例えば猫の場合、各種民間団体は、保護猫として預かり、譲渡会などで飼い主を探します。新しい飼い主は、対面などで慎重に審査されますが、対面が難しい世情となり、インスタグラムなどのSNSを利用したオンライン譲渡会なども開催されています。ですが、劣悪な飼育状況でペットを繁殖させる悪質業者対策のために、飼育頭数が制限される法案が検討を進められており、譲渡先探しは常に困難がつきものとなっています。

野良猫となっている猫を地域で保護し、地域猫として飼っていくという手法もとられています。これ以上増えないように不妊・去勢手術を施し、餌をやり、病気など面倒をみていくのはボランティア。「飼い主のない猫が地域をうろついているのは迷惑」という意見もあり、なかなか受け入れられる土壌は育っていません。

比較的新しい試みとして、保護猫付きのマンションというものがあります。賃貸マンションに住むと、もれなく保護猫がついてくるというもの。各部屋に猫がいる、共有部分に猫がいる、シェアハウス形式など、パターンは様々ですが、猫を飼うための資格審査があるところが普通の物件とは違うところです。初めて飼おうとしている人が知識不足で不安であるとか、ペット可能の物件が少ない、仕事で不在が多くて心配など、飼い主の悩みに配慮したこのシステムは、主に都市圏で増えつつあります。

猫の愛らしさは半端なものではありません。が、かわいいという衝動だけで飼うことは、不幸を生むことになってしまいます。意を決して迎え入れたからには、責任を持って、一生添い遂げたいものですね。

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