Writingsコラム

生産地で異なるカカオをじっくり味わう

冬はチョコレートを目にする機会が増えます。最近の潮流として、カカオ豆の産地の違いを楽しむビーントゥバーという分野があります。カカオ豆の選定から焙煎、製造まで一貫して行われ、板チョコ状で販売されています。コーヒーのように豆の産地の違いで相当に味が変わるということですから、カカオ豆について、少し学んでみましょう。

カカオの木は熱帯に育ち、高さ7〜10mほどで白い花を一年中咲かせています。ですが、実がなるのはほんの一部。収穫できるのは1本の木で70〜300個程度。ラグビーボールのような実をつけますが、収穫できるようになるまで4年ほどかかるそうです。

カカオが育つ気候条件は、非常に限定されています。平均気温27℃以上、高温多湿の赤道を挟んで南北20度までの地域、いわゆるカカオベルトと呼ばれる地帯で栽培されています。生産量1位がアフリカのコートジボワール、続いてガーナ、インドネシア、エクアドル、カメルーン、ナイジェリア、ブラジル。この7か国で世界の生産量9割を占めます。

ガーナ産は酸味・苦味・渋味のバランスが取れたフォラステロ種。エクアドル産は香りに特徴があるアリバ種。ベネズエラ産の雑味が少なく香ばしい風味があるクリオロ種で、日本はこの3か国から主に輸入しています。他に代表的な品種は、ブラジルで栽培されているトリニタリオ種があります。強い苦味と渋味、程よい酸味が特徴です。

クリオロ種とフォラステロ種が原種で、この2種の交配種がトリニタリオ種。生産されるカカオは、ほぼこの3種に限られます。これに産地特有の気候条件で、独自の味わいを持つカカオが育つというわけです。

ビーントゥバーは専門店で取り扱っていますが、小規模生産ゆえに値段はやや高めです。気軽に食べ比べをしてみたい方は、コンビニでも買うことができるものがあるようです。クラフトビールのように、じっくり味わってみたいものですね。

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