Writingsコラム

盲導犬について知ってみよう

街中で時折見かける盲導犬。目の見えない方を誘導していく姿は立派だなと感心してしまいます。ですが、飲食店への入店を拒否されたり、目の見えない人へのサポートを担うために「仕事させられる盲導犬ってかわいそう」と一方的に思い込まれることがあります。改めて、盲導犬についておさらいしてみましょう。

訓練を受けた盲導犬の法的な認定は1960(昭和35)年の道路交通法から。1978(昭和53)年の道路交通法の改正、身体障害者補助犬法2002(平成14)年により、現在の盲導犬は道路交通法上の保護を受けた存在と確定され、公共施設や交通機関、飲食店やスーパー、ホテルなど、さまざまな場所へ同伴することができます。

盲導犬は専用のハーネスを付け、使用者の左側を歩きます。ハーネスを付けているときがお仕事タイム。外していればプライベートの時間となります。盲導犬使用者は、食事や排泄、ブラッシングなどの世話をすべて行なっています。犬が働くことについて、一概に「かわいそう」と人間の感覚で捉えることは難しいものです。人類は長い間、牧羊犬や狩猟犬と共に生きてきました。また、入院中に主人を恋しがって病院の前に座り込む犬がいるように、常に主人と一緒に生活を共にし、出張や旅行時に預けられることなく同行することが幸せだと感じる犬がいてもおかしくはないでしょう。

盲導犬となる犬は、適性のある性格の両親から生まれた子犬から選ばれます。犬種としては、日本の住宅事情に沿って、毛が抜けにくく愛嬌のある顔のラブラドールレトリバーが多くなっています。生まれてから2か月ほど母犬の元で育ち、その後10か月、1歳くらいまではパピーウォーカーと呼ばれるボランティアの家で育ちます。1歳を過ぎてから盲導犬としての訓練が始まり、3回のテストを経て、盲導犬として向いているかどうかが判定されます。警戒心が強すぎる、活発すぎるなどの理由からキャリアチェンジをした犬たちは、性質にあった家庭で暮らすことになり、時には介助や盲導犬のPRとしての役割を果たすことがあります。

盲導犬として8年ほど仕事をした後、10歳くらいで引退した盲導犬は、ボランティア家庭で余生を過ごします。彼らの平均寿命は13歳前後で、ペットとして飼育された犬と同程度。決して短命というわけではないようです。

日本盲導犬協会では、盲導犬を見かけたら、いきなり撫でたりしないで、あたたかく見守ってほしいと広報しています。ですが、信号を待っているときは、盲導犬は信号を見ているわけではなく、人や車の流れで安全を確認しているので、「赤ですよ」「青になりましたよ」と盲導犬使用者に教えてもらえると助かるそうです。立ち尽くしている場合は、道に迷っていることもあるので、「何かお手伝いしましょうか」と一声かけてあげたいものですね。その際、盲導犬の邪魔をしないよう、使用者の右側に立ちましょう。

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